すべての子どもたちは
美しい名前を持っています。
ひとりずつひとつ、かけがえのない名前を。
しかし、その、燃える命ともいえる名前は、
しばしば他者によってあっさりと
「言いまつがわれて」しまうのです。
てなわけで「名前の言いまつがい」です。
いろんな名前が、いろんなパターンで、
見事に「言いまつがわれて」ますよー。 |
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今は亡き祖母の名前は「スガ」でした。
漢字で書くと「寿賀」という
大変おめでたい名前です。
ところが、町役場からの郵送物は
すべて「○○ガス様」と‥‥。
人の名前として、疑問はなかったのでしょうか?
(ガス会社の孫) |
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私の兄は「諭史(さとし)」といいます。
よく宛名では「論史」になっています。
で、名前の説明をするときは
「福沢諭吉の『諭(ゆ)』です」と言っています。
ですが、実際に送られてくると 「湯史」「吉史」など、
不可思議な名前で書かれてきます。
(一万円札見て確認した?) |
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大柴といいます。普通の苗字ですが、
電話で「柴」の字を伝えるのに意外に苦労します。
「芝生じゃない方の柴」
「柴田の柴」など言ってみますが、
「紫に似た柴です」と言うと
大抵の方が「ああ!」とわかってくれます。
なので届く郵便物の宛名の何割かが 「大紫(オオムラサキ)」になります。
明らかに名前負けです。
(ルー大柴じゃもっと派手) |
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つい先程の話。
目の前に座ってる同僚が電話で話していて
「フジナガ宛にFAXお願いします」
と相手に伝えた。
「どのような字でしょう?」
とでも聞かれたのでしょう。 「フジにナガです」と
キッパリ言い切った。
(藤に永です) |
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木村といいます。
電話で先方に名前を伝えた際、
漢字を聞かれました。
木村なんてめったに漢字を聞かれないので、
焦った私は 「木村の木に村です」
と言ってしまいました。
説明になってません。
(木村) |
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転職した時のことです。
私の苗字は「笹谷(ささや)」というのですが、
なぜか新しい上司が私のことを 「里谷(さとや)」だと思い込んでしまい
何度訂正してもなかなか直りませんでした。
しまいには、
「笹谷さんは
里谷たえさん(モーグル選手)の
親戚じゃないの?」
と聞いてくる始末。
だから、笹谷なんだってば‥‥。
(親戚じゃない) |
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小薗江(おそのえ)といいます。
夫とつきあって3年、結婚してしばらくも 「おぞのえ」だと思ってました。
「なんで訂正しなかったの?」と夫に訊くと、
「この名前で暮らすには、細かなことを
いちいち訂正しててはきりがない」
「『菌』の字が使われた時だけ
『オレはバイ菌じゃない、
ショウキンコウじゃない』と
訂正することにしている」
私もこの名を使い始めて27年、毎年必ず、
しかしなぜか家族の中で夫宛てに限って、
バイ菌マン宛てのダイレクトメールや
年賀状が届きます。
(ただしくはオソノエ) |
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先日、婚姻届を役場に提出しました。
日曜日だったので、
警備員のおじさんたちが対応してくれて、
間違いがないか見てあげようね、
の後の第一声。
「えー、大木さんね」
木本です‥‥。
(キモトヨメ) |
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それじゃ、また、明日ー。 イラスト:しりあがり寿 |