時間と空間と中枢神経の映画。
鈴木敏夫さんと

無邪気に語る。

第1回 六本木で、こんばんは

鈴木 糸井さん、こんばんは!
 
糸井 鈴木さん、どうも。もう、夜中ですねぇ。
 
鈴木 ‥‥ええ、眠いです。
 
糸井 前々から、鈴木さんとは、たまに、
夜中にこういうことをしてますけども、
今日は、特別、「夜中感」がある。
 
鈴木 どうしてなんですかね?
 
糸井 わからないけど、六本木っていう街が、こう‥‥
「淫蕩」の雰囲気があるからじゃないですか?
 
鈴木 (笑)「淫蕩」って、むずかしい字、書きますね。
 
糸井 なんか、お客さんも、
ペアばっかりですから、今日は。それがイヤでねぇ。
‥‥‥ところで、ここに参加している方々は、
『イノセンス』は、全員ご覧になったんでしょうか?
 
鈴木 「全員」ではないみたいですよ。
 
糸井 じゃあ、観てない方、ちょっと拍手して下さい。
(まばらな拍手)
なるほど。
えーとその方々にかいつまんで言いますと、
「フォロミ〜♪」
っていう演歌ではじまる映画ですよ。
 
鈴木 (笑)‥‥会場から「ちがう!」って声が。
 
糸井 (笑)いいんです、信じておけば。
ちょっと、からかいたくなるんですね。
うまくいきすぎてんですよ、あの主題歌が。
だから、ついつい演歌調で、
水前寺清子や殿さまキングスで歌ってみたくなる。
 
鈴木 (笑)
 
糸井 今、もうひとつの会場で、
『イノセンス』の監督の
押井さんご本人が、話していますよね。

だから、たぶんほんとうに好きな人は、
監督のところに行くに決まってますよ。
だからいいんです。ここにいるのは、
なんか、外伝好きな人たちとでも言いますか。
 
鈴木 (笑)
糸井 野球でいうとさ、川藤の解説みたいで。
「今の場面、どうだったんでしょう?」
「ワシのようなものには、ようわかりませんわ」
期待されているのは、そういう会話で‥‥。
だから、気楽に、はじめましょう。
 
鈴木 話はそれるんですけど、今年の中日はどうですか?
 
糸井 鈴木さん(愛知県出身)って、
毎日、中日スポーツを読む人ですからね‥‥。
 
鈴木 (笑)
 
糸井 今年の中日は、おもしろいですね、落合監督が。
落合って、
「人にはその理論をわかってもらえないから
 説明しないだけだ」

って言いはった人ですから。

テレ朝の解説者だったときに
「あぁ、あれは打てないですよ」
とか、言うんですよ。アナウンサーが、
「それはどういう意味ですか?」と聞くと、
「言ってもわかんないから」って‥‥(笑)。
 
鈴木 (笑)
落合は、一切トレードしない、補強はしない。
あれは、気持ちよかったです。
やっぱり、ジャイアンツを意識してますよね。
 
糸井 逆をしてるわけですよね。
ジャイアンツは、
ヤンキースやレアル・マドリッドの
マネをしているわけで、
その方針は、あると言えばあるんだけど、
ほんとに役に立つ人を
ぜんぶ入れちゃいけないんだと思うんです。

ほんとに役に立つヤツだけを、
ピタッピタッとはめてったら、
そんなチーム、誰も見たくないでしょう?

‥‥外伝っぽい話をしちゃいました。
 
鈴木 まあぼくは、落合が来て
中日のみんなが元気になって、
非常にうれしかったんですけどね。

まぁ、話を戻したほうがいいでしょうか?
 
糸井 じゃ、野球の部は、ここまでにしましょう。
 
  (あさっての日曜に、つづきます。
 映画『イノセンス』の話になりますよ)


『イノセンス』についてはこちら。

2004-02-27-FRI


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