糸井 |
たとえば、
『もののけ姫』『千と千尋』
『イノセンス』『ハウル』と並べて、
いちばん不安にさせるのは、どの映画ですか?
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鈴木 |
それは、『イノセンス』です。
ほんとにわからないものですから、
もし『イノセンス』にお客さんが来てくれちゃったら
『ハウル』はダメかなぁ? とか、
そんなことも考えたりするぐらいなんです。
『イノセンス』がヒットするということは、
ぼくが、予想外のことを掴めていない証拠ですから。
でも、ほんとは、
『イノセンス』も『ハウル』も、
ぜひ、観に来ていただきたい。
やっている側としては、
いざとなると何の根拠もないわけで。
だから、今の
公開直前の時期に、何を考えてるかっていったら、
「初日に舞台挨拶をするときに、
制作した側がズラリと並んでいるのに、
お客さん3人だったらどうしよう?」
っていう、もういつも、ほんとはそれなんですよ。
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糸井 |
本気で思ってるんですか?
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鈴木 |
本気でそうです。
来てもらえるかどうかっていうのは、
やっぱり、確率としては半々ですから。
いいことが起こることを祈るんです。
ほんとに祈ったら、何か出てきたりして。
そういう感じで。 |
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糸井 |
ただ、この映画、
「つまんなくない」
ってことは、ハッキリしてるんですよね?
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鈴木 |
映画っていうのは好き嫌いがありますけど、
1,800円分の価値は、あります。
ここだけ、ちょっと謙虚に言うんですけど(笑)。
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糸井 |
確かに、あの絵の作り方っていうのは、
また、とんでもない進化の仕方ですよね。
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鈴木 |
さっき、映画は、流れている時間を
どうやってホンモノに感じさせるか、
というものとして進化してきた、と言いました。
『イノセンス』にも、そういうところがあります。
ただ、『イノセンス』から先は、
もしかしたら、ホンモノを抜くことによって、
ホンモノの人間の動きとは違うものを作って、
しかし、それが新鮮に見えるというものを、
目指すのかもしれないです。
おそらく、『イノセンス』は、
セル画で作るアニメーションの
頂点をいった作品ではないかなと思うんです。
技術的には、そんなことを思っていますので、
これができた後、『ハウル』までいったとして、
そこから先は、ぜんぜん違う
アニメーション映画っていうのが
日本でも誕生するんじゃないかなぁ。
そういう気が、ちょっとしているんです。
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糸井 |
『ハウル』の後のことを、もう考えてるんですか?
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鈴木 |
なんとなくそういう気がするんですよ。
今年はアニメーションの当たり年と言われて、
押井守、大友克洋、宮崎駿の作品が公開される。
その後、映画っていうのは
どうなっていくのかな? っていうのには、
とても、興味があるんです。
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糸井 |
リアルな役者を使って撮る映画も、
ぜんぶ、アニメーションそのものに
なっているじゃないですか。
だから、アニメーションっていうジャンルが
映画の中に吸収されちゃっていて、
「アニメーションは次はどうなる?」
っていうのは、
「映画全体がどうなる?」
の中に答えが入ってるんじゃないでしょうか。
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鈴木 |
そうですね。
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(明日に、つづきます!) |