鈴木 |
映画の本なんか読むと、
そういうことが書いてあるわけです。
「実は映画は、すべてアニメーションだ」と。
それは、定説なんです。
アニメーションの1ジャンルとして、
ライブアクションがある……
だから、もとの当たり前の地点に戻っていると言えば、
そう言える。
ただ、実際にアニメーションの
現場で働いてる人たちには、
なんかちょっと気になる発言が多いんです。
それは何かっていうと……
「映画に興味がない」という。
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糸井 |
あぁ。
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鈴木 |
この「映画への興味」が、
これから何かをやっていくときの、
「いちばん気になること」なんです。
ちょっと考えれば、
みなさんもおわかりだと思うんだけど、
ぼくらが子どものころには、テレビはなかった。
映画しかなくて、その映画っていうのは、
光り輝く宝物みたいなものだったんですよ。
だから、幻想があったんですね。
ところが、それからずいぶん経つと、
映画だけじゃなくて、テレビだゲームだと、
ほんとにいろいろなものが出てきちゃった。
そういう中で、映画に対して
幻想を持たない若い人たちが出てくるのは、
当たり前なんです。
そういう人たちが、今、
30代から40代になろうとしている。
だからこれは、新しいものが出てくるのには、
ちょっとむずかしいかなって思っているんです。
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糸井 |
しがみつきたくなる幻想がない、と。
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鈴木 |
そこが不幸ですね。
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糸井 |
映画も、「なまじ作れちゃうから」ですよね。
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鈴木 |
ええ。
コンビニがあれば、
食欲がなくなるのが当たり前。
そんなことが、映画の世界にも起きていますよね。 |
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糸井 |
まぁ、昔に戻れっていうのは無理な話なんで、
「昔に戻るような遊びをしろ」っていうか。
つまり、そこまでが遊びだと思うんですよ。
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鈴木 |
ええ。
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糸井 |
「不自由を買って出る」っていうことの中に、
みんなの楽しみ方がどんどん増えていくというか。
その中での映画の位置を考えるのは、
たぶん、鈴木さんの役割なんでしょう。
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鈴木 |
「1回なくならなきゃ、
しょうがないんじゃないかな」
っていう気持ちが、どこかにあるんですけど(笑)。
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糸井 |
まぁ、焚書坑儒されてしまえば、
映画は、盛んになりますよね。
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鈴木 |
ダメだ、っていわれれば、そうでしょうねぇ。
……あ、こんなところで何なんですけど、
糸井さんに『ハウル』のコピーを頼んでるのに、
いっこうに作ってくれないんですよ……。
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糸井 |
今回はとくにひどいんです。
鈴木さんに向かって、
すいませんとは何回も言っているんですけど、
ほんとに今回は、むずかしいですねぇ……。
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鈴木 |
いちばん長いですよね? 今までで。
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(映画公開日の明日に、つづきます!) |