インターネット的。
これって、どういう本なのか?

 
#3 川のような「からだ」



まず、『インターネット的』(PHP新書)の担当編集者、
三島さんのミニ談話をどうぞ。

「ほぼ日宛てのメールでは、
 『広島で14日に、さっそく買いました』
 とかおっしゃる方もいて、
 全国的にも出まわりはじめたみたいですね。
 すぐに買ってくださったかた、
 ほんとうにありがとうございます。

 ただ、搬入の関係で、もしかしたら、
 16日の月曜日にならないと
 本屋に入荷しないところもあるみたいです。
 それでも月曜には全国的に本屋に入ると思いますよ。
 それに、ちょうど月曜か火曜くらいには、
 朝日新聞と日経で、この本の広告が出ます。

 『インターネット的』は、ぼくが
 ここ数年の短い編集経験の中で手がけた本では、
 たぶん最高傑作なんじゃないかと思っているんです。
 とにかくおもしろい。
 それにまず、新書で『笑える』っていうのは、
 けっこう珍しい特色だと思うんです。
 新書は、まじめなテーマが多いですから。

 この本も、すごく正面から
 まじめなことを書いたものではあるんですけど、
 イトイさん独特の『男女の比喩』が出てくるし、
 『情報農家のおらたち、ですだよ』
 みたいな言葉使いも出てきますから、
 1ページずつめくるのが、すごく楽しいんですよ。

 本の構成を冷静に考えると
 「仕掛け」がいくつもある本だと思います。
 ぼくは一回読んでおもしろがったあとに、
 二回目は「書き手のしかけ」を探ってみたんです。

 そしたら、
 『なるほど、ここでこうやっているんだ』
 といくつか発見があって。

 例えばこの本の途中には、
 『じゃ、ここで一回、読むのをやめてみてください』
 みたいなところがあるんですけれども、
 そうやって読む時の呼吸も考えてある、というか」




『インターネット的』
糸井 重里 (著) ¥660 PHP新書
PHP研究所 ; ISBN:4-569-6164-3

※今回、ほぼ日での発売はいたしませんが、
 ネットで欲しいと思われたかたは、ぜひ、
 アマゾンで、どうぞ。
 (※『インターネット的』のページに直リンクです)



では、昨日のdarlingの談話の続きをお届けします。

※週末「ほぼ日」を読まれていなかったかたは、
 ページ上の「第1回&第2回」を、ぜひどうぞ。


----ロボットのような優秀さだけで
  生きなくてもいい、というようなことも、
  『インターネット的』に書かれていますね。


糸「ふだん暮らしていても、
  具体的な生き物を相手にしているので、
  『最終的には、犬がなつくかどうかが勝負』
  みたいなところがあるじゃないですか。

  犬のほうには、なつくだけの理由があるんだもん。
  エサでいつも釣っていると、
  次はエサを理由になつかなくもなるし。
  赤ん坊も犬も、露骨ですから。

  ぼくはだいたいPHPで本を書くとは
  以前はぜんぜん想像もしていなかったんだけど、
  山岸俊男さんの『社会的ジレンマ』(PHP新書)の
  編集者の小木田さんに誘っていただいたから、
  こんなに一生懸命書いたんです。

  でも、それを機会に、ちょっと
  PHPの『松下語録』とかを読んだりしたら、
  これが、おもしろいんですよ。
  あれはたぶん、ぜんぶ自分で考えたことだけを
  書いているから、おもしろいんだろうなあと思う。

  いま読んで、たとえ
  『間違ったことを書いてるなぁ』
  と思えても、それはそれでいいと思うんです。
  その時代の松下さんにとって、
  実感したことが、書いてあるんだから。
  いまあの人が生きていたら、ぜんぜん違うことを
  言ったりやったりしているんでしょうし。

  松下さんが、机の上だけで難しいことを
  考えていないところがおもしろかったんです。
  それも、生き物相手の楽しさかなと思います。

  ビジネスの世界にしても、
  ぼくが『インターネット的』を出す時期に、
  『物語を売れ』(TBSブリタニカ)だとか
  『インターネットは儲からない』(日経BP社)
  といった本が、出ていますよね。
  しかも、支持されて、売れている。
  そこがうれしいんですよ。
  欲得だけじゃない、次のことについて
  考えている人が、そうやってたくさんいるから。

  いままでの財産って、
  自前のストックを増やしたり、
  処理能力を強化したりすることだったと思います。
  つまり、自分のからだを貯蔵庫のように
  とらえていたんですよね。
  でもいまは、自分のからだを、
  まるで川のようにとらえられるというか。

  大河のように財産をとらえられるなら、
  それが理想になりますよね。
  常に生きて動いていて、かたちはない。
  でも、航空写真で見ると、川はそこにある。
  地図にも載る。
  
  そんな川のような生きた財産を、
  『この水、飲めますよ』
  『この水で洗濯をしていいよー』
  『畑に水を引くこともできるし』
  っていうような使いかたができたら、
  それは、かなりいい!と思うんです。

  で、そういう財産って何かというと、
  川のように動きつづける存在で。
  つまり、財産は『人間』だと考えています。

  だからぼくは最近よく、
  『お金は欲しいんだ。
   それで、おもしろい人を買いたいの。
   人間って、ものすごく値段が高いから』
  って、言っているんですけど」


ここまで聞いたところで、
darlingの『インターネット的』に
関する短い談話は、いったんおわりになりますっ。
三日間読んでくださり、どうもありがとうございました!

2001-07-16-MON
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