インターネット的。
これって、どういう本なのか?

 
♯7 darling取材を受ける「休みのクリエイティブ」

ほぼにちわ。
通天閣あかりです。

昨日に引き続き、
「THE21」のインタビューをお届けする前に
「インターネット的」を読んで、
postman@1101.comにいただいた感想を
ちらりとご紹介しますね。


「インターネット的」、昨日、購入しました。
そして今日、1回目読み終えました。
やっぱり語りかけてもらっているような文体の
お陰で、こんなに早く読み通せたんだろうなー
と思います。

私は建築設計の仕事をしていて、
建物を建てるという「生産」の部分だけでは、
片手落ちなんじゃないかと
思うようになってきています。
特にマンションなどは商品としての性格が強く
デベロッパーの支配力が何かと強いので、設計
はしても、そこで営まれる生活、
出来事にはほぼ関わることがありません。

その為か、完成した建物の使われ方については、
何か想像力が欠如していたように
なってたんです。
そうではなくて、
やっぱりそこでの生活や活動がどうあるべきか、
あるいは使う人がどう思うのか、
もっと感じて設計できないとダメですよね。

そんなことを考えました。
またこれから2回目に挑戦しようと思っています。


いただいた感想は、
自分の立場や体験にぐっとひきつけた考えを
書いてくださっている方が多いです。
必ずひっかかる部分がある本だと思います。


『インターネット的』
糸井 重里 (著) ¥660 PHP新書
PHP研究所 ; ISBN:4-569-6164-3


※今回、ほぼ日での直接の販売はいたしませんが、
 ネット通販で買いたいと思われたかたは、ぜひ、
  bk1アマゾンで、どうぞ。
 (※『インターネット的』のページに直リンクです)




----- 休みってことで言えば、
睡眠時間はどうですか。
糸井 盗み寝はしてますし、
ぱたっと寝ちゃいますよ。
ぜんぜん大丈夫ですよ。
----- 糸井さんは自分のやりたいことを、
楽しいから疲れないみたいな
雰囲気があるんですが。
糸井 いやあ、普通に疲れますよ。
昔の人は血のしょんべんを出したとか
言ったじゃないですか。あれほんとですよ。
それで初めて必死になる。
答え出ないと生きていけなくなるんですよ。
そうなってから初めて
次にまた今度休むことを考えないと、
と思います。
脳って、ほとんど使われてないから
余力ありますもんね。
脳っていくらでも働きますから、
脳より先に
目が疲れたりしちゃうんですよね。
----- すごく極限の話を
聞いてるような
気がするんですけど・・・。(笑)
休み方もクリエイティブだってことが
この本には書いてあるんですが。
糸井 それが自分では、まだできてないですね。
うちでよく、
仕事してるふりしながら
過ごしてる時間が長いよりは、
「俺ちょっと映画行ってくるわ」
って言ってもいいんだって言うんですけど、
なかなかみんなできないですよね。
映画に行くときに、
周りの人がああ、あいつは行くべきだって
思わせる説得力がないと。
----- ええ。そうですね。
糸井 三島くんが会社の中で、
「ぼく今ちょっとこの映画、
 どうしても見たいんで行ってきます」
っていった時に、
三島は行くべきだなって
周りが思えばいいわけですよね。
行くべきだって思われるために
作る何かって必要ですよね。
それが映画に行ける力ですね。
----- どういう休み方が理想なんですか。
糸井 まだ、わかんないんですけど、
アメリカ人がまず考えたのが
まとめて休みとってますよね。
で、どっかリゾート地に行って
そこは電話も通じないみたいにして、
ぽかーんと1週間か10日休んで
さー働くぞうっていう。
ちょっと古いけど
「ザ・インターネット」っていう
映画があるんですよ。
----- サンドラ・ブロックの。
糸井 そうそう。
あの映画が
アメリカ人が考えてる休み方でしょうね。
普段はファーストフードとかピザとか
ほうばりながら
パタパタパタ!ってキーボードうってて、
絶えず仕事に追いまくられてて、
あーこれでできたって言ってバック持って
ポーンとどっか行く、
そこで殺人事件に巻き込まれる、みたいな
そういう映画なんだけど、
あれが、たぶんひとつ、
とりあえずできてる休み方でしょうね。

でも、日本はあの体力ないんです。
ボディにあの力がないんです。
ケリ入れると相手倒せるんですよね、
サンドラ・ブロックは。
タイタニックの主人公の女の子でも
防火用の斧で鎖を立ちきる力が
あるんですよ。
あの力は日本人の男にはないんですよね。
----- ないですね。(笑)
糸井 ってことはまとめて休んでも、
あー疲れたって言うことになる。
で、どうするかっていうと、
休む前に何をするかっていうと、
アメリカ人のような体力をつけるって
いうのが先になるんですよ。
今俺が思ってるのはそれです。
----- (笑)体力つけるのは重要ですよね。
糸井 つけるしかない。
楽しくやりたかったらつけるんでしょうね。
今それしか思いついてないですね。
----- ヨーロッパ人は違うんでしょうか。
糸井 ヨーロッパ人は
違う休み方してるんでしょうね。
これは学ぶチャンスがまだないんで、
もっと知らなきゃだめだと思うんですが
ヨーロッパ人の場合は
幸福論から変えていかないとダメで、
例えば、老舗の帽子屋のおじさんが
一日100個売ってた帽子を
200個売ろうとは思わないでしょう。
100個でいいやっていう幸福観を
もってるわけですよね。
そっちは混ぜ込む必要があると思いますけど
それは休みっていう発想を
しなくてもいいでしょう。
三島 この本の中でも
生産があって、
消費がないのが今の日本で、
そのためには消費のクリエイティブを
っていうことを
おっしゃってるんですけども、
そういうヨーロッパ的な
帽子は100個でいいやって
いうことっていうのは
矛盾しないんでしょうか。
糸井 矛盾はしないでしょうね。
つまり帽子屋のおじさんが
100の関係を持ってて、
その100の関係の中に喜びがあったら、
200になったときには
もう処理できないでしょう。
処理できないってことを
無理やりやっちゃうと、
ダーリンコラムに書いた
「吐く」になりますね。
緊急事態になったらやるんでしょうけど、
それは間違ってますよね。
楽しくないですよね。
三島 その時点で
クリエイティブなんてものが
できないような。
糸井 できないでしょうね。
モノ対モノで、神学で『我と汝』っていう
ウーバって人の本があるんですけど、
汝であるものとそれであるものの違い、
みたいなものなんですよ。
一般的に大量のつながりっていうのは。

でも「あなた」になったら
意味が変わるんですね。
宗教の方では、けっこうたくさん
考えられてきたことですよね。
三島 糸井さんが消費をイメージされるときには
「あなた」っていうものを
意識されてますよね。
糸井 そうですね。意識は絶えずしてますよね。
でも、「あなた」の声が
全部一辺に返ってきたら
鼓膜が破れるんで、そういうところで
いちいち考えるんでしょうね。

ポップアートなんて
そこから発生したもんですよね。
ディズニーランドにしたって、
こういう風にしたら
「あなた」が喜ぶぞっていって、
全員の声聞いてたら大変ですよね。
でも、そうじゃなく思えるようにしたらって
考えるってことで、考えだとか仕組みだとか
どんどん作っていって
それはもう多大なコストがかかる。
三島 理想を言えば、
作る側もコストをかけながら、消費者の方も
それに対してクリエイティブに受けていく
っていうきっかけができれば・・・。
糸井 できれば一番いいんですね。
でも全部ができるはずないんですね。
疲れちゃってるんですよ、人って。
そんなことするの、もういいって。
受け身で言われた通りにするからさって
言ってるのも人間なんですね。
それは往復するでしょうね。
テレビ見てぼーっとしてる時の自分って、
もう疲れちゃってますよね。
それ用のものを作る人も
いてもいいと思うし。
くだらねーなって言いながら
喜んでるもんね。(笑)

よく食いもん屋に行くと
「まずうまい」って言うんだけどさ、
まずいんだけどうまいんだよ、っていう。
(笑)ああいうものもあるんだよ。
それだめって言うと、
ほんとにエリートだけが生き延びる社会に
なりますよ。その辺は難しいですよ。

だって実際に、
参議院選挙で地方遊説して
小泉さんが手振ると票あがるでしょう。
それが何なんだ、
関係ないって思う人はいるけれど、
やっぱり「あ、今こっち見たわよ」とか
言ってる人もいるわけで。
やった分だけ効果があるってことは、
大したこと考えてないんじゃないかなあ、
人って。
で、そこも考えてないと、
やりたいことをお互いにできないですよね。
----- 糸井さんて、
これもありだしあれもありっていう
お考えですよね。
糸井 そうですね。
だって決められませんよ。
これ無しね、なんて。
ありだと思ってる人はいるから。
人間完全なものじゃないですもんね。
趣味も違えば顔も違うし、
こういう奴がだめっていうのは
まずいですよね。
お互い、迷惑かけない国境みたいな場所が
いっぱいあるんですよ、今。
そこで平和条約を結んだり
ミサイルは打たないでって言ったり、
それぞれの考え方を
それぞれが考えていかないと
いけないですよね。

いちいち違う文化にぶつかったときに、
両方が納得するような方法を
考えないといけないわけなんで、
そんなのは無理ですよね。
俺自身が
俺の満足いく人間じゃないですもん。
しょーがねーなって言ってるくらいで
ちょうどいいんじゃないですか。
そんなことばっかりじゃないですか。
受け入れられないんですよね。それは。
一生こいつとは敵だと思ってるのは
無理だよね。
多少知ってみようかと思ったら
ますます嫌いになったとかね。(笑)
それはしょうがない。人生短いんだから。

2001-07-27-FRI
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