インターネット的。
これって、どういう本なのか?

 
♯8 darling取材を受ける「ひとりなんだということ」

ほぼにちわ。
通天閣あかりです。
また嬉しいお知らせがありまっす。
bk1でも、6位にランクインしました!
ああ!たくさんの人にそうやって
お前は知られていくのね、
「インターネット的」よ。

さて、
おなじみ担当編集者の三島さんからの小話をひとつ。

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bk1の中のブックス安藤で
「インターネット的」の書評
読んだんですがすんごくいいんです!

安藤店長にもその書評を褒めたところ
安藤店長から書評を書いた
みなとやヨーコさんにそのことが伝わって、
みなとやヨーコさんから僕に
「はじめまして」って
メールが来たんですよ!
インターネット的でしょう、この話!


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とやんややんやと語ってくれました。
みなさんも是非読んでいただいて、
インターネット的な体験って
こういうことか!
と分かってもらえれば嬉しいです。

それでは、
darling「THE21」の取材を受けるの巻の
最終回。
つながる力って何だろう、というお話で
しめくくりです。


『インターネット的』
糸井 重里 (著) ¥660 PHP新書
PHP研究所 ; ISBN:4-569-6164-3


※今回、ほぼ日での直接の販売はいたしませんが、
 ネット通販で買いたいと思われたかたは、ぜひ、
  bk1アマゾンで、どうぞ。
 (※『インターネット的』のページに直リンクです)




----- 人生短いですか。
糸井 まずは
孤独だっていうことに気がつかないと、
最後は自分しかいないし、
死ぬ時に手伝ってくれる人って
いないんですよね。
日本には心中っていう形はありますけど、
生まれてくるときと死ぬときって
絶対一人だし、
一緒に行こうぜって風にはならない。

あと、本当に苦しい問題と対面したときも
そうですね。
本当に嬉しい時もそうだけど、
その人だけなんですよ。
それをみんな一緒にやってると
見えなくなるものがある。
やっぱりみんなが一人なんだって思って
そういう人同士が
会ったり離れたりしながら、
力を貸しあう、喜び合うっていうのが 
Only is not lonelyです。

前提として
一人ってことを気づけないとだめですね。
悲しい人でもかまわない。
一人であるってことはつらいことですよ。
けっこう。実は。
それ引き受けないと
逆に誰の手助けもできないし
自分も助けてもらえないでしょう。
つながりを求めるんだったら
まず一人にならないと。
----- 一人じゃないと
つながれないんですか。
糸井

つながれないですよね。
それは一人じゃないです。
君は一人じゃないんだっていう言い方も
できるんです。誰かいるからね、必ず。
同時に君は一人ぼっちなんだっていう
言い方と2つ矛盾する要素が入ってるのが
Only is not lonelyです。
Only だけど lonelyじゃない。

----- 死ぬときは一人だって
おっしゃいましたけど、
「死」って考えられるんですか。
糸井 もうずっと考えてますよ。
子供のときから。
----- どういう風に考えられるんですか。
怖いですか。
糸井 今は怖くないです。
怖いってほんとに思ったことはないですね。
短くは言えないけど、
一辺に色んなことを考えますね。
消えちゃうってことのすごさだとかね。
いたんだっていう思い出にしか
なんないですよね。
ただ死んでも死なないんですよ。

若い人は知らないかもしれないけど、
小学校の外によく粘土の型っていうのを
売りにきたのよ。
鋳型ってあるでしょ。あれみたいなもので。
顔の形の鋳型なら顔のへこみが
ありますよね、
そこに粘土つめてぎゅってやると
顔ができますよね。
で、粘土が自分なんだと僕は思うんですよ、
で、鋳型の方っていうのは
自分に接してる社会とか環境ですよね。
この粘土を捨てちゃっても、
この鋳型が残ってれば
この人にとってはマイナスですけど、
空間は残ってるんですよ。
死ってそういうもんだと思うんです。
実は生きてるんですよ。
この鋳型の方の形が変わって
どんどん平らになっちゃったら
その人の死っていうのは、
本当に死んだんですよ。
----- うんうん。なるほど、そうですね。
糸井 だから、夏目漱石って人の鋳型は
まだ残ってるんですよ、色んな形で。
だから夏目漱石また作れるんですよ。
あらゆる意味で。
形がちょっとずれてるけど。
例えば
おやじが死んだときに思ったんだけど、
死んだって実感なかなかないもんね。
で、死んでから正月に田舎に帰って、
あ。って思った。いねーやって。
それで、
そこにおやじがいたんだっていう風に
思い出したんです。
死ってそういうもんで、
人間って物体じゃないんで、
やっぱり壮大な物語だったり
システムの一部分だったり
色んな要素があるんで、
その物体が消えたからって、
鋳型は残ってますから。
----- そうか。
糸井 その意味ではそんなに怖くないですね。
子供をどうしようかっていうことが
あればね、もっと大変でしょうけれども。
----- ずっと「死」について
考えられてるんですか。
糸井 死のこと考えないで今生きられないですよ。
だって野球やってる時に、
9回裏で野球終わらないと思って
野球できないと思うし。
----- 死ってことから戻ってくると、
楽しいことやりたいって
なるんですか。
糸井 なりますね。
----- 今、糸井さんの中で
幸福のイメージっていうと。
糸井 わかんないですね。
ぼくはよく言うんだけど
毎日人のことをほめていたいんですよ。
それいいなあとか、よくやったなあとか、
かっこいいなあとか、きれいだなあとか、
どうしてお前そんなにすごいんだとか、
言っていたいんですよ。理想はそれ。
それが幸福のイメージ。

起きたとたんに奥さんに
「わー今日はきれいだね!
あーおいしいね!」ってご飯食べて、
それ最高でしょう。やっぱり。
会社来たらみんな生き生きしてて、
お前、なに、こんなにできてんの!
すごいなあ!って。
人のことで感心してるのが
一番嬉しいんですよ。
自分がどうだって言ってるときって
だめなんですよ。まだ。
ほんとは「お前」でやってほしいんですよ。
----- ああ。
糸井 時々はそういうこともあるよね。
だから結構まんざらでもないですよ。
お前それだめだよって言ってるときは
だめですよ。不幸ですよ。

ありがとうって言う側になった方が
嬉しいんですよ。
ありがとうって言ってくれるかどうかは
相手が決めることですから。
----- シェアするということに
なるんですか。
糸井 シェアなのかな。つながる力でしょうね。
ありがとうって
やっぱり関係を大事にしてるってこと
ですからね。
そこで喜びがあったってことは既に。
いっぱいありがとうを言う人は
言われてますよ。きっと。
----- つながる力ってある人と
ない人はありますか。
糸井 もともと不幸な人の方が
つながる力は強いでしょうね。
不幸だから生きていくためにつながらないと
生きていけないじゃないですか。
赤ん坊って不幸の塊ですから。
歩けもしないのに
世の中に出ちゃったわけですから。

赤ん坊が一番不幸なんですよ、
だんだんと自分の力がついてきて、
そうするとつながる力が弱くなります。
でも、やっぱりそのくらい必死で
赤ん坊が泣き叫ぶのと同じような気持ちで
泣き叫ぶようなことっていうのは、
大人になってもあるわけで。
かわいがられすぎると
つながる力が弱くなります。
エリートは弱いですよ。
赤ん坊は自分で食べ物捕れないんですもん。

自分だったらやですよね。
三島 つながる力と群れることとは
また別なんですよね。
糸井 群れるっていうのはね、
俺にはよく分かってなんだよね。実は。
群れる楽しみってあるんですよね。
だって、ウエイブしてる時って
楽しいですからね。
三島 ええ、ええ。
糸井 みんなが同じこと考えてるって
思った瞬間って湧くんですよね。
あれでも離れるから楽しいんであって。
三島 前提はOnlyなんですよね。
糸井 そうそうそう。ああ別だと思ってた人たちが
一瞬つながったっていう、
その一瞬のものなんだよね
群れるっていうのはね。
三島 その群れるっていうことを
日常化してしまおうとすると
ぎくしゃくしてしまうんですよね。
糸井 そうだよね。あれがウエイブだったら
平面で波打ってるけど、
バケツリレーで考えると
人ひとりが寝てるとバケツリレーは
止まるじゃない。
だから群れて集団で行動するってことは
実は難しいことなんですよね。
誰か寝ちゃってるなってこともありえると
思いながらバケツリレーをする。
その仕組みを考えるのも
また楽しくなりますけどね。
寝ちゃってるやつがいても
バケツリレーができる方法を考えるのが
ぼくらの仕事です。


(darling取材を受ける、
 はこれにて終わります。
 ありがとうございました。
 「THE21」は8月10日発売です。
 どんな風にこの内容がまとまっているか
 比べてもらうのも
 面白いかもしれません!)

2001-07-27-FRI
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