ハブの棒使い。 やればできるか、晴耕雨読。 |
その4 フクロウの恋の季節 体長20cmくらいの小さなフクロウ、 リュウキュウコノハズクの恋の季節です。 日没直後から日の出前まで裏山から鳴き声が聞こえます。 オスが「コホッコホッ」と鋭い空咳のような声音で鳴くと、 メスが「ンニャンニャ」と風邪ひいた猫のような声で返す。 いいな、カップル誕生かな などと思いをめぐらせつつ、ビール片手に読書を続けます。 奄美ではこのこの鳥が鳴くと死人が出る という言い伝えがあったと聞きます。 本当ならば、奄美は死屍累々です。 だって、このリュウキュウコノハズク、 奄美や沖縄では一年中普通に見ることのできる鳥なのです。 にもかかわらず、実は戸籍がはっきり定まっていない、 不憫な鳥でもあるのです。 本土にはコノハズクという鳥が夏鳥として渡ってきます。 寺院や神社があるような深山で皆が静まった夜、 金属的な声で「ブッキッキョー」と鳴きます。 これを強引に「仏・法・僧」と聞いた人がいたのでしょう。 「声の仏法僧」という結構なあだ名をもらっています。 ややっこしいことに、ブッポウソウという鳥は別にいます。 紫の法衣をまとったようなきれいな鳥。 こやつは「ゲッゲッ」という悪声なので、「姿の仏法僧」。 さて、従来リュウキュウコノハズクは、「声の仏法僧」こと コノハズクの亜種だと考えられていました。 しかし、まず鳴き声が全然違う。 こちらはせいぜい「仏法僧の飼い猫」みたいな情けない声。 生息環境も若干違うし、体色や体長もよくよく見ると違う。 そんなわけで、 リュウキュウコノハズクはコノハズクの亜種ではなく、 南方系の別種セレベスコノハズクの亜種じゃないか? という疑惑が持ち上がりました。 コノハズク家からセレベスコノハズク家へ養子縁組です。 しかし、どうもそれでもしっくりこない。 セレベスコノハズクはフィリピン、インドネシアの鳥。 やはり、文化が違いすぎるのかもしれません。 現在では、リュキュウコノハズクを独立種として扱う という説が有力です。 万歳、ついに分家から本家へ格上げだ! とはいえ、正式な統一見解はまだ出ていないのが現状です。 そんな人間の思惑をよそに、 今晩も「コホッコホッ」「ンニャンニャ」が聞こえます。 いいな、またひとつカップル成立かな。 |
2000-06-01-THU
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