HABU
ハブの棒使い。
やればできるか、晴耕雨読。

その11 あまーい罠に誘われて…

夏休みに遊びに来る、かわいい後輩の女の子3人組に、
お土産で何を持ってきて欲しいですかと聞かれたので、
「それじゃ要らなくなったヤツでいいからパンストでも」
というと、怪訝な様子でした。
やっぱヘンなリクエストですかねえ、パンスト。

梅雨明け後の奄美は本土から昆虫採集家が押し寄せ、
林道などでその姿をよく見かけます。
なかでも多いのが蝶屋さんとクワガタ屋さん。
つまり蝶のコレクターとクワガタ愛好家のみなさまです。
かくいうボクも生粋のクワガタ少年、いやおじさんです。
移住先を最終的に奄美大島に決めた理由のひとつが、
クワガタの種類が豊富なことだったくらいですから。
だって、奄美大島では8種類(!)のクワガタが生息し、
うち3種は奄美の特産種、残り5種も特産亜種なのです!
沖縄本島の生息種が5種(特産種0、特産亜種5)
西表島の生息種も5種(特産種3、特産亜種2)ですから、
いかに奄美がクワガタ天国かわかろうというもの。

で、奄美のクワガタ取り、どうするか知ってますか?
本土では夜中か夜明け頃に樹液が出てる木に捕まえに行く。
ところがこちらでは夜間森に入るのはハブがいて危険危険。
そこで、トラップ(罠)。
ここで、パンストの出番です。
バナナに焼酎をかけて一日日向に置いておけば、
発酵して甘い臭いを放ちます。
こうしてぐじゅぐじゅになったバナナをパンストにつめ、
林道脇の樹木にくくりつけておくのです。
甘い臭いに誘われて、クワガタが集まるという寸法ですね。
トラップをしかけたら、夜中と夜明けに車で見回ります。
この時期、真夜中に林道で車とすれ違ったら、
レンタカーならば本土から来たクワガタ屋さん
地元の車ならハブ獲りの人(あるいはボク)
と相場が決まっています。

さて、くだんのトラップにより、現在わが家には、
スジブトヒラタクワガタ(オス1頭、メス1頭)
アマミヒラタクワガタ(オス1頭)
アマミノコギリクワガタ(オス1頭、メス2頭)
が賑やかに暮らしています。
ボクは標本の趣味はないので、
オスは一番いい型のヤツを1頭だけ残し、他は逃がす。
メスには卵を産ませたいので、オスより大事する。
実は徹底したフェミニストぶりなのです。

最後に気になることがあるので、苦言をひとつ。
全国のクワガタ好きのみなさん、
トラップはちゃんと回収して帰りましょう!
パンストが干からびて木にぶら下がっているのは、
見ていてあまりにみじめすぎますって。

2000-07-21-FRI
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