ハブの棒使い。 やればできるか、晴耕雨読。 |
その12 珍商売について考えてみた この4月に大和村に野生生物保護センターができました。 絶滅の危険がある種の保護増殖、調査研究、普及啓発等を 目的として環境庁が設置する施設で、すでに全国6箇所 ―佐渡、釧路湿原、対馬、西表など―に存在しています。 奄美が「野生生物の生息にとって重要な地域」に 選ばれたのは当然のことであり、 個人的には遅すぎた感すらします。 マングース調査のために同施設を訪れていた、環境庁の 外郭団体の職員の方からお話をうかがう機会がありました。 その彼によると、マングースの被害は深刻化する一方で、 捕獲を進めるために賞金も科すことになったということ。 ってことは、賞金稼ぎという商売が成り立つ! プロのマングース・ハンターです。 カッコよくないですか、名刺に賞金稼ぎと刷ってあったら。 早速マングース・ハンター第1号として立候補しようか! 昔から奄美大島には別の賞金稼ぎの人種がいます。 そう、ハブ獲りの人たちです。 ハブはその毒で人に危害を与える有害生物なので、 捕獲すれば行政が一匹5000円で買い取ってくれるのです。 それを生業にしている人がいるほどですから、 ハブの数は人による捕獲で撲滅するほど少なくないですし、 ハブの恐怖が人の手から豊かな森を守ってきたのも事実。 ボクは守り神のハブに対して畏敬の念を抱ちこそすれ、 積極的に自分で退治してお金を稼ごうとは思いません。 しかし、マングースとなると大きく事情が異なるのです。 マングースももとはハブ撲滅のために放されたらしい。 ところが野生化したマングースは、 危険を冒してまでハブを襲おうとはしませんでした。 クロウサギやヤマシギなど、危険はないうえ、捕えやすく、 さらに食いごたえも十分なエサがあるのですから当然です。 結果、生態系に深刻な影響を及ぼすまでになってきた。 これも決してマングースが悪いわけではありません。 放した人間の考えが浅はかだっただけの話。 マングースを捕獲することで、人間の愚かさを嗤いながら、 生態系の歪みを是正でき、お金まで稼げれば最高じゃ! かくも正義感に満ち、かつ高踏的な商売はないではないか! しかし、思わず躊躇してしまう条件があったのです。 そもそもハブは棒がひとつあれば捕まえられるのに、 マングースには罠が必要で、講習にも通わねばならない。 やっと苦労して捕獲したマングースの買取価格は2200円。 なんとハブの半値以下。 マングースの生息数は最大1万頭くらいと推定されており、 とすれば市場規模は約2000万円。 プロとして独立するにはあまりに脆弱な基盤かもなあ…。 …なんて考えている自分が一番愚かで俗物的でした。 |
2000-07-27-THU
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