ハブの棒使い。 やればできるか、晴耕雨読。 |
その34 奄美大島発正月レポート 正月気分も去り、日常のリズムが戻ってきた頃でしょうか。 加速度的にスピードアップしていく毎日の中で、 記念すべき新世紀の幕開けもすでに遠い昔の出来事のよう。 そんなときに何をいまさらといわれそうですが、 あけましておめでとうございます! なにしろ奄美と本土は時の流れ方が多少ずれているので、 時期はずれの年始のごあいさつもご愛嬌とお許しください。 あ、お年賀のプレゼントは干支にちなんだ縁起物で。 見事にとぐろを巻いたハブの幼蛇 奄美で迎えた初めての正月を雑感風にまとめてみます。 生憎の曇で初日の出は雲間からかすかに覗けただけの元日。 この日は各家庭で三献(さんごん)の儀式を行うせいか、 名瀬の街はことのほか静かでした。 翌2日、帰省中の若者で街は一転賑わっていました。 奄美大島の若者のほとんどは高校を卒業した後、 一度は島外に出るようです。特に関西方面が多いようで、 通常1往復だけの伊丹空港との直行便も年末年始は3往復。 普段はお年寄りが目立つ大島も正月は活気を取り戻します。 三ヶ日の間に初詣に行こうかと思ったものの果たせず。 キリスト教がさかんな地なので教会は各地にあるのですが、 神社は平家の落人ゆかりの古びた社などいくつかあるだけ。 そもそも奄美の正月に越天楽の雅びな楽の音は似合わない。 むしろ島唄の哀感あふれるメロディがふさわしいのです。 奄美の島唄は沖縄のそれとは違って、実に切ない調べです。 沖縄の島唄が陽なら、奄美の島唄は陰。 正確には知りませんが、音階が琉球音階とは違うようで、 歌い方も高音の裏声を多用した独特のものです。 三線(サンシン)を弾きながら切々と歌われる唄は、 内容こそ方言(島口)でほとんどわかりませんが、 じんわりじわりと胸に染み込んでくるのです。 4日早朝には名瀬市で大火がありました。 家屋16棟が全焼、身元不明の1名が焼死の惨事は 全国ニュースになったらしく、 見舞いや問合せの電話やメールをいくつもいただきました。 幸い同じ名瀬市といってもわたしの住んでいる宅地からは 遠く離れた中心地での出火でしたので被害はありません。 それにしても正月早々焼け出された家族は気の毒なこと。 6日には消防の出初式が行われていましたが、 寒空の下、なんとも寒々しく空々しい気分になりました。 5日は本土よりひと足早く成人式。 新成人の溌剌とし、どこかぎこちない姿が街に溢れました。 伝統産業保護のため、市では紬の着用を呼びかけており、 女性の約半分が、男性の約4分の1が紬姿でした。 黒を基調にした紬を着た女性は普通の振袖姿と比べると シックで落ち着いているようですが、 よく見るととても艶やかです。 紬の和装できめた男性もなかなかに粋なもの。 高価でなかなか手が出ない大島紬ですが、 こうやって眺めていると、一着は欲しくなってきます。 その若者たちも都会に戻り、島に日常が戻ってきました。 わたしもまた、いつものようにフィールドに戻ると… あ、新年早々縁起がいいかも。 リュウキュウアカガエルを狙うヒメハブ |
2001-01-10-WED
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