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ハブの棒使い。
やればできるか、晴耕雨読。

その38 花をめでるということ

東京は週末ごとの雪というニュースをTVで見て
少々懐かしくなりました。
今日は寒いかなと思う日でも気温が10℃以上ある奄美では、
雪など望むべくもないのです。
雪がだめなら、花でもめでるとしましょうか。
ということで、サクラの花を見に行きました。

奄美大島のヒカンザクラは1月中旬に花を開き始め、
2月末頃まで咲いています。
寒い時期にスカーレット(緋色)の花をつけるので緋寒桜、
最近、別名でカンヒザクラ(寒緋桜)とも呼ばれます。
どっちでもよさそうなものだと思うでしょう?
実は、本土にはヒガンザクラという桜があります。
こちらは3月下旬から咲き始めるので彼岸桜。
混同を避けるために、
通り名としてカンヒザクラが普及しつつあるわけです。

さて、花見に行った1月最後の日曜日、
自然観察の森のサクラは4分から5分咲きという加減。
ただでさえ釣鐘型の花は元々全開にならない内気な性格で、
全体的に花よりもむしろ枝ぶりが目立つ趣きです。
この寂びた感じ、桜というより、どこかで…そうそう!
時期的にも花の色からも、紅梅を連想してしまうのです。
それでも多くの人が見学に来ていました。
公共交通機関のないこの場所まで、家族でドライブ。
なかには麓から数キロの山道を歩いてきた人もいます。
目的は花を見ながら家族や仲間で団欒のランチタイム。
屋台も酔客も携帯カラオケも一切なし。
これが花見の本来あるべき姿なのでしょう。


緋色あざやかなヒカンザクラ

別のある日、コゴメキノエランを見に行きました。
奄美大島の限られた地域にしか自生していない野生ラン。
このランは樹木に着生し、冬に花をつけます。
垂れ下がるように咲いた薄黄色の小さな小さな花。
可憐といえば聞こえはいいですが、
これは侘び寂びさえも超越し、地味と紙一重の美しさです。
みるからに虚弱体質そうで、
やはり絶滅危惧植物に指定されています。
奄美の深い森にしか生きられないのは一目瞭然なのですが、
それでも盗掘が絶えません。
違法行為によって採取された株は、
熱狂的な愛好家のラン舎で寵愛を受けるのでしょうか?

それが花をめでるという行為なのでしょうか?


ひっそりと咲くコゴメキノエラン

2001-02-06-TUE
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