HABU
ハブの棒使い。
やればできるか、晴耕雨読。

その42 ヤンバルの森VSアマミの森

やんばるは沖縄本島北部に広がる森林地帯のことで、
国頭村、大宜味村、東村を中心に30,000haほどの面積です。
東京ドームに換算することに意味があるのかは不明ですが、
試しに計算するとおよそ23,000個分になります。
先日、この森林に行ってみたのです。
なんといってもやんばるといえば、
ノグチゲラやヤンバルクイナ、ヤンバルテナガコガネなど
世界中捜してもここでしか観れない生物の宝庫なのです。

やんばるの森に入って一番最初に感じたのは、
林道が網目のようにやたらとたくさん張り巡らされており、
それがことごとくきれいに整備されていることでした。
最新の地図を持っていっても追いつかない。
よって土地勘もなく踏み込もうものなら八幡の藪知らず!
……堂堂巡りになりかねません。
前回6年前に来たときの記憶を探りながら車を走らせます。
するといたるところで、こんな看板を見かけるのです。



林道は舗装してあり、側溝がついています。
以前、側溝に希少な小動物が落ちて抜け出れなくなる
事故が相次ぎました。
それを反省してバリアフリー型の側溝が考えられた訳です。
ところどころに小動物が登ってこれるスロープや
舗装道路上を歩行しなくてすむように横断用の溝を設けて。
さすが沖縄は進んでいるなと思いました、最初は。
奄美ではこんな側溝、見たことありませんでしたから。
でも待てよ、本当にそれでいいんだろうか?
これって生き物に優しい施策なんだろうか?
一番いいのは林道そのものを作らないことなのでは。

やんばるにあって奄美にないものその1はダム。
沖縄本島には100万人をこえる人々が住んでいるので、
生活していく上で水は必要不可欠です。
南部の人口過密地域の水源確保のために、
北部の森林地帯が伐採され巨大ダムがいくつもできました。
ダム開発のためには道も作る必要があるし、
水没する部分の森林も伐採しなければならない。
必然、加速度的に森林は失われていきます。
人が生きていくために仕方のないこととはいえ、
バリアフリーの側溝だけで償えるものかどうか。

奄美大島の森林面積はおよそ69,000haで、
(ちなみに東京ドーム53,000個分!)控えめにみても
やんばるの2倍の広さという大森林が島を覆っています。
おそらく日本一森林だらけの島だと思います。
当然森林の中に林道は何本も走っていますが、
いまだに島の南北を結ぶ中央林道ですら未舗装状態。
少し細い道に入り込もうものなら、
道はえぐれているし土砂は崩れているしで、
車高の高い四輪駆動車でなければ通行不能。
それですら行き止まり立ち往生の憂き目にまま遭うのです。
これこそ真に生き物には優しい林道といえましょう。
(もはや林道とすらいえない気もしますが…。)

やんばるにあって奄美にないものその2は米軍施設。
幸か不幸か基地の周囲には手つかずの自然が残っています。
せめてここだけは未来永劫残しておいて欲しい。
やんばるにしかいない生き物たちの声を代弁しておきます。

2001-03-06-TUE
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