糸井 |
バレンタインもなかった時代だけど、
あんなチョコなんてもらっていたら、
男どうしで「…なんだよソレ!」って、
小姑っていうか、
姑に近い反応があったと思う。
小学生は、当時、全員、硬派だったもん。 |
今泉 |
(笑)全員。 |
糸井 |
ただ、俺、バレンタインデーって言うと、
「おかあさんにバレンタインをもらう」
っていう言葉が、すごい好きで……(笑)。
「チョコが食べたいのかよ!」って。 |
今泉 |
それって、おやつですもんね。
糸井さんが生まれた群馬県の前橋市って、
記憶にあるのは、どんな感じの場所ですか? |
糸井 |
近所に大きな川が流れていて、
遊びに行くときには、大きい子も小っちゃい子も、
ほんとに隊列を作って川原に行くんです。
学校に入ってからは
学校に行くことが多くなりましたけど、
とにかく、川原で遊ぶんですよ。
水があって、石があって、歩きにくくて、
風が吹いて、夏は雷が鳴ってみたいな。 |
今泉 |
「上州の空っ風」ってやつですか? |
糸井 |
うん。
当時のほうがよく吹いてましたね。
あまり信じてもらえないんだけど、その頃は、
おばさんは北に向かって自転車をこげなくて、
降りて歩いてるんですよ。
北側にいるともだちの家に行くと、
帰り道は自転車をこがないで帰って来てたんです。
暑さ寒さ、風、温度、道。よく覚えていますよ。
ぼくが小さい頃は、まだ舗装道路じゃなくて、
ぬかるみがいっぱいあった。
泥がハネたから、よく、長靴をはいていましたね。 |