・「じぶんのことは、なんでも後回しにして、
ずっといつも、だれかの助けになろうとしていた」と、
そういう人は、ほんとうにいるわけです。
その人が、「ほんとうにやりたいことをやってごらん」
と言われたら、なにをするんだろうね、
と、本人と話したことがあります。
「なんだろうなぁ」と、本人はにやにやしました。
そして「たぶん、その、だれかの助けになることを、
したいんじゃないでしょうかねぇ」と言いました。
ぼくも、「そうなんだろうねぇ」と納得しました。
「だって、それ以上に
じぶんが一所懸命にやれてうれしいことって、
ないんじゃないかと思うんですよね」
うちの犬のボールを拾っては投げてやりながら、
いつものような会話が続いていました。
ぼくが京都の家にいるときには、
かならずこんな時間が流れていました。
目の前に問題が置かれると解決したくなる病。
ぼくは、そう言ってからかっていたのですが、
だれかの助けになって「よかった」と思われるのが、
とにかくいちばんの大好物だったのです。
ちなみに、なるべく気づかれないようにしていたけれど、
嫌いなものはたったひとつで、漬け物でした。
目の前に解決されたい問題があると、
ついついなんとかしたくなるという病の人は、
目の前にお菓子があると、なくなるまで食べます。
これも問題解決の病気だね、と、おもしろがって、
うちの会社にきたときには、わざと、
目の前にお菓子を山積みするようなわるい人もいました。
急に遠くへ行ってしまったご本人の顔を見ながら、
ぼくは「だめじゃんっ」と言ってしまいました。
でも、しばらくして、心からそれを謝りました。
彼は、じぶんの体内にある病という問題にだって、
なんとか解決しようとしていたに決まってますから。
お医者さんたちや家族や会社の助けになることを、
ほんとうに一所懸命にやったはずなのですよね。
そんなに一所懸命にやった人に、なんにも言えません。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
そう、今日は、遊んでもらってた犬の誕生日でもあるんだ。