氷の上の出来事。
2024-11-11
一一一一〜〜〜。
↑いち、いち、いち、いち。
つまり、じゅういちがつじゅういちにち。ということです。
こんちわっす。
週末、思い立ってスケートに行った。
たしか、去年も行ったかもしれない。
娘は、なかなかコーチ(親)の言うことを聞かず、
転ばないほうがおかしいってくらい、
ツルツルしながら移動する。
前回よりも、体が大きく重くなっている分、
こちらが大変になっていた!
子と手をしっかりつないで、
転ばないようにずーっと上に
ひっぱりあげなくちゃならないのは、
なかなかたいへんですわ。
家族一同、30分くらいで案外疲れた。
せまいトラックを回ってるだけなんだけどね。
変な力も入ってるし、余計に疲れるのです・・・。
わたしは、
「最後に一周してくるわ」
と伝えて、父娘はあがった。
「ママのすべるところ、応援しよう」
という会話を背中で聞いた。
いやいや〜、いいのにぃ。
そう思いながら、すべった。
特別なことをする余裕もなく、ただすべる。
あれ、あ、ズテーーーーン!
マンガみたいな転び方をして、
地面にうつ伏せでピーンと寝てしまった。
一文字に寝そべった。
直後、わたしは動けなかった。
なにこの転び方!やっべ〜。
俯瞰から見てる自分がいる。
あまりにもハデに転んだので、
笑いがこみあげてくる。
一文字、肩をふるわす。笑いで。
まずは「大丈夫です」という意味を込めて、
足を折り曲げる。
転んだり倒れたときに、
ただフリーズしちゃうことがあるけど、
あればダメですよ。
まわりから見ると、こわいからね。
ピンチなわりに、周囲への気配りは忘れない俺です。
痛くて起きれないな〜。とか思っていたら、
シュッと音がして、スケート靴が目の前で止まった。
ドラマなら、顔を上げると
キラキラしたイケメンが、逆光気味で立ってるはずだ。
甘いマスクで、やさしく手を差し伸べてくれたり、
ツンとしながらも、手をだしてくれたり。
色んな展開があるはずだ。
でも、顔をあげられない。
なぜなら、痛いから。主にひざと、手のひらが。
一瞬、顔をあげて、うなずくと、
その足は、去っていった。
少し離れたところまですべっていったところで、
一文字からも、そのイケメンの正体が見えた。
「STAFF」と書かれたジャンパーを着た、男性であった。
イケメンかどうかは見えなかった・・・。
とにかく、ここにいては、みなさんのジャマになる。
痛みを抱えながら、なんとか立ち上がって、
子鹿のような足並みで、壁まで行く。
「いたたたたた」とか言いながら、ヘラヘラしながら。
だいじょうぶ、わたしには家族がいる。
向こう側から、この一連の事件を見て、
腹をかかえて笑っている親子がいるはずだ。
なんなら、動画も撮ってくれてないかな。
あ、ここは撮影禁止だ。
まるで1歳児のように、壁につかまり立ちをして、
ややドヤ顔で振り返ると、
そこには知らない人の顔しかない。
え?
いない?見てないの?
あんなにおもしろいやつ、見てないんかーい!
わたしは絶望的な気持ちと、痛みと、
さらにおかしくなり、壁に顔をつっぷして、
肩をふるわせて、笑った。
痛い。おかしい。痛い、おかしい。
服の前面には、かき氷のような
クラッシュアイスがまぶされている。
いちごと、メロンと、ブルーハワイ、
どれにしよっかなぁ〜。じゃないよ。
手ではらうも、はらっているそばから溶けていくので、
ただ服がびしょびしょの女の、できあがりである。
痛さとせつなさとみじめさと。
愛しさとせつなさと心強さと。
主に体の前面の痛みをこらえながら、
濡れそぼったおばさんがゆーっくりとトラックを半周して、
ロッカールームへ戻る。
スケート靴で氷じゃないところを歩くとき、
脳内ではいつも『ターミネーター』の曲が
かかっているのは、わたしだけだろうか。
ダダンダンダダン
ダダンダンダダン
痛みで子鹿のターミネーターが通ります。
ダダンダンダダン
ダダンダンダダン
6メートルくらい先に、
家族の姿が見えた。
まだこちらには気づいていない。
じわじわ近づく。
私「ちょっとぉ〜〜〜〜」
夫「お、おつかれー」
私「見てなかったでしょ?見てよー」
夫「ごめん、まるちゃんが行っちゃってさ〜」
私「マンガみたいな転び方して、ズテーンて。
もうすごかったんだから!超おもしろかったよ。
笑うよほんと」
数分前に起きた出来事を話しながら、
笑って、笑って、泣いた。あと、痛い。
手のひらは、アスファルトで同じ転び方をしたら、
むざんに、おろし途中の大根みたいになっていただろうし、
膝やズボンも、ズタボロであっただろうところ、
氷の上だったので、
膝はおおきなアザ。手にいたっては、無傷である。
ありがとう、氷のおかげ。
氷のおかげで、最小限のケガで済んだよ。
ありがとうね。
・・・いや、氷のせい。氷のせい以外の何者でもない。
大人になって、というか、
だいぶ転んだりしない人生を送っていたので、
衝撃が大きかった。
あ、首も痛いかもしれない。
でも、元気ですのでご安心を。
みなさんも、お気をつけあそばせ。
傷ついた体で外に出たら、
なんだか幻想的だった。
景色を撮るのをじゃまする子どもが1人。
さ、今週もがんばっぞ〜。