古賀さんと糸井さんの飽きない仕事のはなし
第５回 自分が主役じゃない仕事
- 古賀
- 糸井さんのなかでは、
一山当てたい、みたいな気持ちはあるんですか？
- 糸井
- ちいさく、今のヒット論みたいに言えば
いつも一山当てたいですよ。
楽になりたくて仕事してるわけですから。
- 古賀
- それいつもおっしゃいますよね。
- 糸井
- いつも苦しくてしょうがないわけですよ、僕は。
めんどくさいし。
- 古賀
- 『ほぼ日』始められたときに、
働くことが流行ってるって書かれていたじゃないですか。
あの時期と今では仕事に対する感覚のちがいはありますか。
- 糸井
- あの時期も明らかに我慢してた。
釣りを一生懸命やる経験と、
働くことが流行ってるという経験が同じで。
-
前の日に友達の分まで釣りのセットして、車で迎えに行って、
じゃあ行こうってやるのって、苦労ですよね。
- 古賀
- そうですね。
- 糸井
- でも、それをやりたくて楽しくやってたから、
いいんですよ。
-
それと同じで『ほぼ日』ってまだ名前もない頃から、
こういうことって面白いぞって思ってたんで。
釣りするくらい面白かったんですよ。
- 古賀
- ふーん。
- 糸井
- あのときの気持ちとちょっと形は変えてますけど、
実は似てますよね。
ずっと1つずつの仕事については
あぁ嫌だ嫌だって。
- 古賀
- 僕もそうですね。
本書くの、嫌です。楽しくないです(笑)
- 糸井
- 楽しくないよね(笑)
- 古賀
- 辛いです(笑)
- 糸井
- 仕事嫌いなのにあれこれ手出して、
なんでしょうね。
- 古賀
- 本当に、それわかんないんですけど。
うーん、なんでしょうね。
僕は3連休とかあっても、半日経つと仕事のことを考えちゃう。
-
こどもの頃ドラクエにはまっていたのと感覚が近い。
やっていく一個一個は面倒くさいんだけど、
ゲームはクリアしないと気持ち悪い
目の前に課題があると解かずにいられないのかなぁ。
- 糸井
- それはちいさな組織をつくってからですか。
- 古賀
- ひとりでやっていた時の方が出世欲はあった。
今はそこで競争して消耗するはもったいないなと。
ひとりでやっている時は中しか見ていなかったけど、
組織をつくると、外に目を向けた時の面白さがある。
- 糸井
- 組織を作ってよかったですよね。
喜んだ話が聴こえてくるのが、大きいですよね。
- 古賀
- そうですね。
- 糸井
- 主役は自分じゃないんだけど、自分が苗を植えた、
みたいな仕事が増えてきてる。
実った米を食べて喜ぶ人がいる。
その循環そのものをつくるのが、飽きない面白さになった。
- 古賀
- それって最初からじゃないですよね。
- 糸井
- 問題があるからやる、みたいなことが多いけど、
問題がなくてもやりたいって思うだろうなぁ。
一回「どうだ！」って言わせてほしい感がある。
- 古賀
- “まずはこいつをびっくりさせたい” って人に
どうだ！って見せるときの喜びはありますね。
- 糸井
- あとは単純に、
お通夜の席にみんな楽しそうに集まっているのを見ると、
どのくらい本人が楽しかったかがわかるじゃないですか。
-
家族だけのお葬式、それもいいと思うんだけど、
誰がいてもいいってお葬式を望んでいる。
そこにかこつけて遊んで欲しいなって。
最後まで触媒でありたいというか。
- 古賀
- 結婚式って俺と奥さんが主役。
お葬式って本人いないのにみんな楽しんでくれっていう、
そこが全然ちがいますよね。
- 糸井
- 俺ちょっと自信あるな。みんなが楽しんでもらえるように。
古賀さんはまだまだ僕の年齢まで年月があるから、
楽しいこといっぱいあるよ。
そう言えるおじさんでいたいね。
- 古賀
- いやーたのしみですね。
