もくじ
第1回天狗には、ならなかった。 2016-05-16-Mon
第2回目立ちたい気持ち? 2016-05-16-Mon

趣味は外国人の道案内。1歳の娘がいます。

ホームランを打ってから考えたこと。

第2回 目立ちたい気持ち?

糸井
「あなたには目立ちたいってことはないんですか?」
って聞かれたら、
「ものすごくありますよ」って言うんじゃないですかね。

糸井
ただそれはどういう種類のものなんでしょうねと言うと、
「いや、いいかも、要らないかも」(笑)っていう。
古賀
それは、それこそ30ぐらいの時に、
目立って痛い目に遭ったりした経験があるから…
糸井
じゃないですね。
一番目立ちたがりだったのって
高校生じゃないですか。
古賀
はいはい(笑)
糸井
高校生の時っていうのは、
何をしてでも目立ちたいわけで。
みんな俺をもっと見ないかなって、
言葉にすればそういうこと思ってるのを、
服装にしてみたり(笑)
それは自然ですよね。
でも、やっぱり嬉しいのは何かっていったら、
近くにいる人にモテちゃうことの方が嬉しいんですよね。

古賀
はいはい。
糸井
目立ち方として、
僕みたいな加減で目立ちたがったり、
目立ちたがらなかったりしてるという例が、
古賀さんの世代の人に
見えるっていうことについて、
気づいてますよ。
そんなにガツガツ目立とうとしなくても、
1つの面白い世界はやれるんだなっていうのは、
若い人達が僕を見てた時に、
いいなって思うってくれる理由の1つですよね。
例えばアイドルグループの子達だって、
すごく人気があるとしても、
実際の個人としてモテてたわけじゃないでしょ。
古賀
遠くでモテて。
糸井
そうなんです、距離なんですよ。
お客さんが
5万人の会場を埋め尽くしてるはずじゃないですか。
古賀
でも遠くの5万人とか遠くの50万人に
モテてる俺っていうのを喜ぶ人も
確実にいますよね。
糸井
それはものすごく面白いゲームだし、
僕なんかの中にそれはなくはないんだけど、
古賀さんの本を何人読んでくれてるって、
まさしく100万人。
それは「ええー?」っていう嬉しさがあるじゃないですか。

糸井
俺、仕事でそんなもの見たかというと、
実は仕事でそんなもの見てないんですよ。
100万部なんてもう絶対ないし。
だから何が大きい数字かなっていうのは
自分の中で宿題ですね。
エベレストの麓で、
「やあ登れないけど、これかあ」って思うみたいな。
古賀
エベレスト?
糸井
古賀さんが、「お金なんかないですよ」って子に
「ちょっと今儲かったから連れて行ってあげます」って、
ヒマラヤが見えるとこに立って
「なあ」って言うと、
その子が「ほんとだあ」って言うじゃないですか。
その、ほんとだが、自分以上に嬉しいですよね。
この間あったじゃない、それ。
古賀
はいはい(笑)はい。うちの子が、はい。
糸井
ヒットしたんだよね。あれですよ。
古賀
そうですね、あれは気持ちいいですね。
自分のこと以上に全然、
会社の子が10万部いって、それは嬉しかったですね。
糸井
それは嬉しいと思いますよ。
人が喜んでくれることこそが自分の嬉しいことですっていうのを
綺麗事として言葉にしてしまうと、
すごく通じないんだけど。
でも実際にある。
そういう経験をすればするほど、
人の喜ぶことを考えつきやすくなりますよね。

古賀
僕、今回、ミリオンセラーというのを初めて
経験してわかったのは、
みんな全然知らないんですよ、
『嫌われる勇気』っていう本のこととか…

糸井
とかね(笑)
古賀
やってみる前はミリオンセラーって
あまねく人達の所に届くもので…
糸井
大騒ぎしてるから。
古賀
って思ってたんですけど、
みんな全然知らないし、誰にも届いてないなって。

古賀
もちろん100万人という数はすごいんですけど。
聞きたかったのは、糸井さんの中で、
ヒットするとかっていうのは、何か自分の中で、
こういうものだというのあるんですかね。
糸井
『ほぼ日』始めてからは、もうヒット多様性になりましたね。
古賀
ヒット多様性。
糸井
生物多様性みたいに。
これもヒット、あれもヒットになりました。
古賀
それはコンテンツ毎に、これのヒットは
このぐらいの基準でというのが何となくあって。
糸井
全てがコンテンツですということを
言い始めて気付いたんですけど、
金銭的に言ったらマイナスでもヒットのことはある。
何がヒットかっていうのも説明できるわけですよね。
みんなが既に持ってる価値観じゃないところに
自分の価値観を増やしていくというのが、
たぶん僕は『ほぼ日』以後するようになったんでしょうね。

糸井
100万部に対して5万部はヒットじゃないかというと、
5万部もヒットですよという言い方あるんだけど、
やっぱり100万部があることでの
信用度とか発言権とか、
それを持つと次に出した時には、
そこと掛け算になって、打ちやすくなりますよね。
それはとっても大事なことなんだと思うんですね。
古賀
はい。
糸井
古賀さんっていう、僕は黒子ですって言ってた人、
かける、100万部だから。
2冊目は、だからもう既に、100万部の古賀が。
面白いとこだよね。
古賀
面白いですね。
糸井
立て続け感が、すごく面白いんですよね。
古賀
(笑)そうだなあ。糸井さんの中では、
一山当てたいみたいな気持ちはあるんですか。
糸井
小さく、だから、今のヒット論みたいに言えば、
いつも一山当てたいです。
楽になりたくて仕事してるわけだから。
古賀
それ、おっしゃいますよね。
糸井
苦しくてしょうがないわけですよ、僕は。
めんどくさいし。
古賀
『ほぼ日』始められた頃に、
働くことが流行ってるというのを
書かれてたじゃないですか。
あの時期と今とは、
仕事に対する感覚って違うんですか。
糸井
あの時期も、我慢してたんだと思います。
明らかに我慢してたし。
でもそれをやりたくて、
楽しくてやってるわけだから、
いいんですよ。
糸井
それと同じで、『ほぼ日』始めた時に、
『ほぼ日』っていう、まだ名前もない頃から、
こういうことって面白いぞと思ってたんで。
その時の気持ちは、ちょっと形を変えてますけど、
実は似てますよね。
ずっと1つずつの仕事については、
ああ嫌だ嫌だ。
古賀
(笑)まあそうですよね。
僕も本書くの嫌です(笑)

糸井
楽しくないですよね。
古賀
うん、楽しくないです、本当は(笑)。辛いです。
糸井
辛いですよね。
古賀
辛いです、ほんとに辛いです。
糸井
敢えて言えば、仕事嫌いなのに、
こんなにいろいろ手出して、
ね、人から見たら、
よく頑張ってるなっていうぐらいはやってるって、
何でしょうね(笑)
古賀
いや、ほんとにそれわかんないんですけど。
うーん。例えば僕、三連休とか、仮に休んだとしたら、
やっぱりもう1日半ぐらいで
仕事のことを考えちゃうんですよね。
それはワーカーホリックなのかと、
ちょっと違うんですよ。
目の前に何か課題があったら
解かずにはいられないみたいな感じが
近いのかな。

糸井
まあ、古賀さんもここまで、
僕の年までの間がものすごい長いですから、
いっぱい面白いことありますよ。
古賀
楽しみです。
糸井
楽しみだと思うんですよ。
そう楽しみにされるようなおじさんで
いたいですよね。