主婦と科学。 家庭科学総合研究所(カソウケン)ほぼ日出張所 |
研究レポート39 血液型性格学、そこに科学はあるのか? 前編 ほぼにちわ、カソウケンの研究員Aです。 皆さん、血液型と性格に 関連があると信じていますか? 当研究所のメンバー 所長・研究員A・研究員CみーんなB型です。 研究員Bはまだ不明ですが 7対1の確率で B型かO型のどちらかになります。 とにかく、B型な集団なのです。 そして、面白いことに私たちの身近な科学者たち どうもB型が目立つような気がするのです。
ちなみに、日本人の血液型の割合はほぼ、 A : O : B : AB=4:3:2:1 となっています。そのはずなのに これらのサンプルは妙にB型の多さ A型の少なさが目につきます。 なるほどー、B型って 「好奇心旺盛」「子どもっぽい」「熱中しやすい」 って特徴があるっていわれます。 だから、科学者に多いんでしょうか。 ってことは、B型集団であるカソウケンは 優れた研究者集団ってことの証明? ……あれあれっ? なんかおかしな結論になっていますよね。 そもそも最後の強引な結論は「論外」でしょうがっ! でも、上記のサンプルを見る限り 「何か血液型と職業の関連がありそう」 と考えたくもなります。 私たちの生活に根付いている「血液型性格判断」。 そこに科学はあるのか否か? 今回はちょっと統計の話を交えつつ お話ししていきましょう〜。
さてさて、唐突ですがコインを投げたときのことを 考えてみましょう。 裏になる確率、表になる確率はともに1/2です。 ちなみに、10回投げたときは 表が5回となる確率は約25% 表が0回となる確率は約0.098% となります。 詳しい計算は省略させてくださいね。 ちなみに、二項分布の確率です。 当然ながら、「全部裏」とか「全部表」が出る確率は 極めて小さくなります。 さて、このコイン10回投げを カソウケン内のあちこちで試してみたとしましょう。 例えば、台所・所長の部屋・和室・リビング・庭 という具合に場所を変えて試行してみるのです。 で、このような結果が出たとします。
この結果を見て、何が言えるでしょうか?
……言うまでもなく 「大間違いの、とんちんかん」 ((c)だるまちゃんとてんぐちゃん)です。 確かに、裏が10回全て出る確率は 極めて小さいものです。 でも! 決して「ゼロ」ではないのです。 何回か試行してみたときに 「絶対ないことはない」です。 いくら、宝くじで1等の出る確率が 天文学的に小さかったとしても 当たる人には当たる、のと同じ。 言うまでもなく、これは 「所長の部屋での試行」を何度もやってみて 本当に「裏が10回」がある程度の割合で 再現できたとしたら 初めて議論する価値のあるデータとなるわけです。 その確認をせずに、ましてや 「ひょっとして庭では表が8回出ているのも 電磁波が少ない影響では??」 なんて話を進めてはダメダメ〜なのです。
これを最初の血液型B型の例に当てはめてみましょう。 例えば、【サンプル1】の 「研究グループ内の5/6がB型だった」という例。
他の研究グループはどうだったか検証してみないと なんともいえません。 他のグループは日本人の血液型の構成の割合 そのままだったかもしれません。 ひょっとしたら、「全員A型」なんてグループも あったかもしれません。 だから、【サンプル1】は 「たまたま」なサンプルだった可能性は 否定できないわけです。 ある特定のグループだけをすぽっと切り取ってみると そこに偏りがあることは ある確率で「あり得る」のです。 特定の職業で血液型の偏りがあるってときは そんなケースが多々あります。 血液型だけではありません。 「パソコンを使う職場では 女の子の生まれる確率が高い」 という話、耳にしたことがありませんか? パソコンの影響で、Y染色体が弱くなっている云々 言われるのです。 これも、特定のグループを 切り取ってみたケースなので 確率的に「あり得る」話なのです。 実はですね、お恥ずかしながら研究員Aも こちら(おしゃべりな部屋内の女児出産ラッシュ?)の 説明を見るまでは この手の話「関係あるかも〜」って信じておりました! 研究員Aの出身大学の学科の教員には 女の子が生まれる確率が 異様に高いと言われていたのです。 そして、学科内ではまことしやかに 「これは化学物質の影響で Y染色体が弱くなっているのか?」 な〜んて言われていたものです。 ただ、これらの話はサンプルの数を増やしてみたり いろいろなケースで検証してみて 「やっぱり再現性があるらしい」とわかれば 議論に値するデータとなります。 「たまたま」ではなく 「何かある」のかもしれません。 全国各地で言われているような説には 本当に何か理由が潜んでいるかも。 そして、研究の分野でもこんな「からくり」で 目的に沿ったデータを「作ってしまう」例はあるとか。 例えば、 「インターネットを6時間し続けた人」 「6時間ひなたぼっこをしていた人」 の「食欲」「集中力」「血流」「計算能力」 などなど〜調べます。 他のデータでは違いが見られなかったのに 例えば「集中力」だけで見られたとしたら それを大きく取り上げて 「『ネット脳』は注意力散漫になる!」 など結論できちゃいます。 いろいろな条件で試した場合にやっと出た 「たまたまデータ」かもしれないのに。 あ、もちろんこの例は 研究員Aが勝手に作ったものですから、あしからず! まあ、インターネットぶっ通しで6時間も やっていたら変化が表れても当然な気がしますが。 (byネットに脳が冒された主婦) しかも、このような説はセンセーショナルなので 世間で取り上げられやすい。 「これっぽい実験、よく見かけるなあ」 とお思いの方も、少なくないと思います。 何か面白げなデータを見たときに 「ひょっとしたらこれは『たまたま』かも」 って疑ってみるという姿勢も悪くないかもしれません。 しかも、そのようなおもしろサンプルは 「やっぱり!」と印象に残りやすい。 というわけで、「血液型性格学」の信じられやすさは そんなことも一因となっているのです。 他にも「血液型性格学が信じられやすいのはなぜ?」 ということは心理学のはなしがいろいろ絡んでいます。 その分野に 荷が重いので良い説明をしてくださっている サイトさんにお任せすることにしますね。 で、ここまで読むとカソウケンは 「だから血液型と性格の関係には科学がない」 と結論するみたいですが ただそれだけでは面白くありません! なんと言っても「へそ曲がりB型」ですから。ほほほ。 というわけで 「血液型性格学、そこに科学はあるのか?」 は次回へと続きます〜。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 参考サイト 統計学自習ノート 血液型性格判断-Wikipedia- 参考文献 図解雑学 統計解析 ナツメ社 丹慶勝市著 |
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2004-07-09-FRI
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