山下 |
え? ‥‥ああ、なるほど、
こういう、ちっちゃいやつなんですね。 |
中野 |
はい、小さいこけしです。
あ、それ頭に穴があいてますでしょ。 |
山下 |
はい、あいてますね。 |
中野 |
そこにこういう、楊枝が入るんです。 |
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山下 |
わ、楊枝にもこけしの顔が‥‥細かいなあ。
ええと‥‥、ほかにもたくさん
持ってきていただいたんですよね? |
中野 |
はい。ぜんぶ出しましょうか。 |
山下 |
ぜ、ぜひ、見せてください。 |
このコーナーの第5回をまとめていたころ、
僕は中野シロウさんの存在を知りました。
横須賀にお住まいの中野さん(既婚)は、 モダンペットという
ぬいぐるみを生み出したデザイナーさん。
「このかわいいものをつくった人に会いたい!」
僕は、願い続けていたのです。
さて中野さん、
テーブルの上に次々と、並べていきます。
たまたま、お店にほかのお客さんはいません。
しかもこのカフェは中野さんの行きつけ。
誰の目も、はばかることはないのです。
男ふたり、こけし話に花を咲かせましょう。 |
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山下 |
うわあ、いい! これはいいですねえ。 |
中野 |
ほとんどが小田原の民芸品、
メイド・イン・ジャパンです。
かわいいでしょ。 |
山下 |
はい、どれもちっちゃくて‥‥。
こけしと聞いていたものですから、
てっきり、あの高さ30センチくらいの
大きなものかと。 |
中野 |
あ、そう思ってましたか。 |
山下 |
しかも15体ほど持ってきてくださると‥‥。
それを、お店のテーブルに並べたりしたら
これ、えらいことになるぞと。 |
中野 |
ははは。 |
山下 |
普通の大きいこけしは持ってないのですか? |
中野 |
あれは怖いから。 |
山下 |
怖い(笑)。 |
中野 |
いや、大きいスタンダードなのも
素晴しいと思いますよ。
でも自分の家に合うやつを選ぶと、
こういう遊びのあるものになるんですね。 |
山下 |
なるほど‥‥。
ああ、これなんか、ほのぼのとしてて
ほんっとにかわいいですよねえ。
まったく怖くない。 |
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中野 |
モダンでしょ。きれいなんですよ。 |
山下 |
こっちのも、しみじみかわいいです。
3つ並べて‥‥ああ、いいなあ。 |
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中野 |
アイデアにあふれてますよね。
デザインの勉強にもなるんです。 |
山下 |
でも、あれですね、あふれるアイデアが
すごいとこまでいっちゃって、
これ、こけし? っていうのもありますね。 |
中野 |
はい、そこがまたおもしろい。 |
山下 |
これとか‥‥なんでしょう、
からだが植物のようですが‥‥。 |
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中野 |
カツオ。 |
山下 |
え? ‥‥あ、はいはい、カツオ(笑)。
で、ええと、これもこけしですよね。 |
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中野 |
こけしなのだから
子どもの人形のはずなのに
なぜか母も一緒なんです。 |
山下 |
母子こけし(笑)。
‥‥こっちのこれは、ピエロ? |
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中野 |
そのふくみ笑いはなんなんだ、と。 |
山下 |
はははは‥‥。
そ、そして、これ! |
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中野 |
(笑)これはもう、
こけしだって言われないとわかんない。 |
山下 |
なんでしょう(笑)‥‥宇宙の子?
職人さんの調子に乗りっぷりが
伝わってきます。 |
中野 |
それとほら、これちょっとすごいんですよ。 |
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山下 |
なんか上むいて口あけてますが‥‥。 |
中野 |
通産大臣賞をとったらしいんです。 |
山下 |
ほんとだ、書いてますね。 |
中野 |
「山びこ」って作品らしくて、
こんな紙が一緒についてました。 |
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山下 |
ん? なにやら詩が‥‥。 |
中野 |
(朗々と読む)
青麻嶺(あおそね)に
乳房を恋ひて
夢を呼ぶ
山びこ童児
四人並んで
‥‥‥‥‥‥なんなんだこれは、と。 |
山下 |
はははははははは、
口をあけてるのは、乳房を恋ひて、ですか! |
中野 |
ね、(笑)おもしろいでしょ?
最初は、おもしろくて買うんですよ。 |
山下 |
‥‥ああ。はい、笑いました。 |
中野 |
でもそういうウケが終わってからも、
飽きることはないし、手放さない。 |
山下 |
それはやっぱり、
ていねいにつくってあるから。 |
中野 |
そうです。ちゃんと、かわいいんですよ。 |
山下 |
どういう場所で見つけるんです? |
中野 |
骨董市とかフリーマーケットですね。
1個100円とか、高くても500円くらいで。 |
山下 |
今はもうつくってないものなんですか? |
中野 |
つくってないでしょう、同じものは。
ここにあるので、
30年から50年前のものですからね。 |
山下 |
ああ、その時代のものなんですか。 |
中野 |
そうなんです、だからほら、
このお店にあっても違和感ないですよね。 |
山下 |
はい、それは僕も思ってました。
例えば、そこの棚に飾ってもおかしくない。 |
中野 |
‥‥よし。じゃあちょっと頼んでみますね。 |
中野さん、お店の方に頼んで
撮影用にと棚を借りてくださいました。
ミッドセンチュリーアメリカなお店の棚に
同じ時代の日本のこけしを並べていきます。 |
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中野 |
‥‥‥‥こんなかんじでしょうか。 |
山下 |
あ、やはり合いますねえ。 |
中野 |
こうやって、1個だけ置いたりもして。 |
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山下 |
さすがですねえ‥‥。
あの、じゃあ僕も、ちょっといいですか? |
中野 |
あ、山下さんもやりますか。 |
山下 |
中野さんのぬいぐるみとですね、
こけしをぜひ一緒に並べてみたく思います。 |
中野 |
ああ、ははは。 |
山下 |
ではまず、カツオから‥‥。 |
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カツオ「す、素敵な、ぼ、帽子ですね‥‥」 |
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カツオ「わ、わーい」 |
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中野 |
ははは。カツオ、カメラ目線ですね。 |
山下 |
続きまして、母子こけしの場合‥‥。 |
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母「この子にも、お帽子を‥‥」 |
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母「いえ、わたくしにではなく」 |
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中野 |
はははは、くだらないなあ。 |
山下 |
本日は、どうもありがとうございました。 |