夏の盛りに、山や森を歩いていて、立木や倒木に、
オレンジ色ともピンクとも見える派手な色をしていて、
縁が波打ったような半円形のきのこが、
二重、三重、あるいは、
これでもかっ、と大発生しているのを見かけたら、
真っ先に思い出して欲しいのが、マスタケです。
鱒の肉の色をしているから、マスタケ。
鮮やかな色、かつ、柔らかい、
幼菌のうちであれば、その見かけとはうらはらに、
天ぷらやフライにするとすごく美味しいんです。
(生食すると中毒する=お腹を壊すので要注意!)
ちょっと食べてみようかしらん、と思ったら、
まず、色が褪せてないか鮮度をチェックし、
次に、自分の耳たぶを指先でぷにゅぷにゅしつつ近づき、
同じようにマスタケもつまんでみましょう。
その触感が、耳たぶよりも柔らかければ、可食。
堅ければ、食べるのをあきらめる。
実に分かりやすいですね(笑)。
多孔菌科に分類されているマスタケは、
いわゆるサルノコシカケの仲間。
成長するとともにどんどん堅くなるので、
無毒だけど食べられなくなっちゃうんです。
その昔、堅くなったマスタケを砕いて乾燥させて、
火をつけるときに使う火口(ほくち)として使ったので、
火口茸、などと呼んだりする地方もあるとか。
また、マスタケは、樹の幹の中を腐らせ、
その腐朽部分に白い菌糸層を形成するので、
それを傷口につけるガーゼ代わりに使ったりも。
先人の知恵ですな。
ちなみに、マスタケは、
アイカワタケというきのことそっくりで、
単純には区別がつかないほど。
(アイカワタケは色がやや黄色系)
我が愛用している、
山溪フィールドブックス「きのこ」では、
マスタケの項に、
「アイカワタケはここでは区別していない」と
開き直りともとれる一文が書かれております。
ふふふ。 |