もしかしたら、古い図鑑などには、
茹でこぼすと毒成分が抜けて食用になる、
と出ているものがあるかもしれませんが、
例え茹でこぼしたとしても、嘔吐や下痢などの、
中毒症状が出る場合もあるそうです。
よって、疑わしきは食せず、の方針により、
「きのこの話」的には、毒きのこ、とします。
というか、最近の図鑑では、当然、毒きのこ扱いです。
それにしても、この形!
このきのこを「ウスタケ」と命名した方には、
「臼」のように見えたのかもしれませんが、
属しているのは、ラッパタケ科、ラッパタケ属。
また、コップに見えるという意見も捨てがたいし、
20センチくらいの大きさに成長するものもあるので、
そうなれば、コップではなくジョッキですよねえ(笑)。
さて、さて、ここでもう一度、
ウスタケの写真をじっくり見てください。
何か気づきませんか?
そう、傘と柄がほとんど一体化していて、
どこまで傘で、どこから柄なのか、
まったくわかりません。
世界は分けなければわからないが、
分けてもわからない、
ってなことをおっしゃったのは、
分子生物学者の福岡伸一ハカセですが、
ウスタケを見ると、まさに、
自然がつくり出したものに境界など存在しない、
という考察が、頭の中でぐるぐる回ります(笑)。
あのシイタケだって、ぱっと見には、
傘と柄がはっきり分かれているようですけど、
でも、実のところは、すべての部分が、
徐々に変化しつつ連続してつながっているわけで、
となると、厳密な境界なんて……。
シイタケがそうなのだったら、ニンゲンだって……。
ああ、あれこれ考えるとキリがありません。
話を戻しますと、
この、傘と柄の区別がつかないような、
きのこきのこしてないウスタケは、
棒状だったり、枝状だったり、扇状だったりする、
他の、ちょっと変な形をしたきのこたちとともに、
ヒダナシタケ類という、まさに、その名の通りの、
グループに属しているのであります。
ウスタケは各針葉樹と栄養分のやりとりをする菌根菌。
阿寒の森では、トドマツの下でよく見かけます。 |