サナギタケ(冬虫夏草) 食不適
写真と文章/新井文彦

いわゆる、冬虫夏草です。
たとえば、鉄道マニアといっても、
「乗り鉄」「撮り鉄」など個人的な嗜好があり、
なかなか一括りにはできないように、
きのこマニアの世界にも「冬虫夏草」という、
燦然と輝くひとつのジャンルが存在します。
その名も、虫草屋!

冬虫夏草とは、ひとつの種類を指すのではなく、
セミや、トンボや、アリにはじまって、
バッタや、ゴキブリや、あげくはクモなどなど、
様々な「昆虫」に寄生する、殺虫きのこの総称。
これが、実に、実に、実に、
奥深い世界であることは、想像に難くありません。
昆虫ときのこのコラボ、と言ったら、
昆虫がかわいそうですけど……(笑)。

確かに、ぼくも、初めて見つけたときは、
気持ち悪い、を通り越して、ものすごく感動し、
森で、歓喜の叫びをあげました!

冬虫夏草、といえば、一般的に、
漢方薬としての知名度が高いかもしれません。
少し前、1990年前後に、
馬俊仁コーチ率いる中国の女子陸上長距離選手たちが、
出る大会、出る大会、すべてで、
世界をうならせる驚異的な強さを発揮したのですが、
そのパワーの原動力となったのが、
冬虫夏草のドリンクや薬膳料理だった、ということで、
一躍有名になりました。

ただし、様々な「昆虫」に寄生する、
すべての冬虫夏草が薬用になるかどうかは不明。
写真のサナギタケは、食か否かのクイズでは、
一応「食不適」を正解にしてますが、
コルジセピンという薬効成分を含んでいるので、
お酒に漬けたりすると、薬になるようです。

蛾の幼虫に寄生するサナギタケは、
けっこう謎が多い冬虫夏草の中でも、
その生態が比較的盛んに研究されていて、
近年では、人工栽培も行われているとか。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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