冬虫夏草シリーズ、第2弾。
スズメバチや、アシナガバチなど、
ハチの仲間に寄生する、ハチタケです。
冬虫夏草は、すごく小さいので、
探すのはなかなか大変なのですが、
本当に、他のきのことは一線を画する、
独特の存在感、とでもいうものをまとっています。
ホソツクシタケ、カベンタケ、テングノシメガイなど、
冬虫夏草に似ているきのこはけっこうありますが、
何回か冬虫夏草を目の当たりにしたら、
なかなか言葉にはできない、歴然としたその違いが、
きっとお分かりになるかと思います。
ほ、本当ですって。
冬虫夏草は、種類によって、
宿主(しゅくしゅ=寄生する昆虫やクモ)が決まっていて、
例えば、ハチタケは、ハチの仲間だけに寄生し、
サナギタケは、蛾の仲間の蛹だけに寄生。
そして、もちろん、寄生する虫によって、
ストローマ(目に見えるきのこ部分)も違います。
では、冬虫夏草が、
どうやって虫たちの体内に侵入するかというと、
口からではなく、おそらく、皮膚から。
ハチタケが空中に放出した胞子が
ハチに触れたりひっかかったりすると、
皮膚から体内に侵入して発芽するわけです。
ハチタケの胞子が、
ハチ以外の昆虫にひっかかった場合は、
発芽することなくそのまま死滅してしまうのだとか。
冬虫夏草には、きっと、それぞれ、
特定の宿主にのみ有効な体内侵入方法があるのでしょう。
もしかしたら、冬虫夏草は、宿主の昆虫を操って、
自分が発芽しやすい場所へと導いていたりして……。
と、そんなSFまがいのことも考えたこともあるのですが、
実際のところは、宿主に寄生した冬虫夏草は、
じっくり菌糸を広げ、宿主の命をじわじわ削るようです。
ちなみに、カミキリムシ、クワガタムシ、
そしてカブトムシを宿主とする冬虫夏草は、
未だ見つかってないようなので、
もし発見したら、それは、新種まちがいなし、です。
それにしても、生きていくということは、
人もきのこも昆虫も壮絶なドラマの連続ですな。 |