不正解、食べられます!
ヤマブシタケ 食
写真と文章/新井文彦

ヤマブシタケって、変な形をしてますよね。
この写真のものは、まだ、幼菌なのですが、
成長していくと、垂れ下がった「針」の密度が増し、
形も、耳かきの先っぽのふわふわのように、
だんだん丸くなっていきます。

ちなみに、あの、耳かきの先っぽについている、
「白いふわふわ」の名前、ご存知ですか?
あれ、梵天(ぼんてん)って言うんです。

山を駆け巡りながら厳しい修行する山伏の装束を、
よ~く見てみると、トレードマークと言えるような、
丸い「ぽんぽん」が付いていますよね。
(実際には首にかけた袈裟についています)
そう、あの、丸くて、ふわふわしたものが梵天。
山伏がつけている「ぽんぽん」みたいだから、
ヤマブシタケ、という名前になったようです。

でも、そういう理由で名前をつけるなら、
ポンポンタケ、もとい(笑)、
ボンテンタケの方が、それっぽいですよね。

件の、ヤマブシタケの肉質は、
ふわふわ、ではありませんが、
ちょっと柔らかくて、ちょっと脆くて、
触ると、ぼろぼろ崩れてしまう感じです。

ところで。
食べられるか、食べられないか、
という、きのこのクイズにチャレンジして、
それが、食べられる、とわかったとき、
気になりますよね、どんな味がするのか。

食べられる、と言われているきのこでも、
ぼくは、あまり食べたことがないので、
通常の場合ですと、ここでお茶を濁すところですが、
このヤマブシタケは、チャレンジしてるんです!

枕の代わりにもなろうかという、
日本を代表するきのこ図鑑、
山と溪谷社の「日本のきのこ」に、
「さっとゆでて刺身風にわさび醤油で味わう」
と書いてあったので、いざ、実践!

ええと、何というか、その、
味も、香りも、ほとんどわかりませんでした(涙)。
別に、おいしくない……。

ヤマブシタケをインターネットで検索すると、
健康食品会社のページがずらりと並ぶので、
いろいろな薬効があるらしいことがわかるんですが、
中国四大珍味のひとつ、と書いてあったりもします。
(なぜ、三大ではなく、四大珍味?)

世界三大珍味、と言えば、
キャビア、トリュフ、フォアグラ。

日本三大珍味、と言えば、
ウニ、カラスミ、このわた。

ところが、中国三大珍味、は、
フカヒレと、ツバメの巣は、ほぼ確定ですけど、
あとひとつの候補が、たくさんあるんですよね。
熊の掌とか、ナマコとか、アワビとか……。
もちろん、我らがヤマブシタケの名前も。

珍味、というくらいなので、
味はともかく、希少、ということなのかというと、
ヤマブシタケは、人工栽培もされているので、
比較的簡単に手に入りそうです。

じゃあ、やっぱり、重要なのは、味かあ……。
悔しいので、今度ヤマブシタケを見つけたらなら、
各種料理法を研究し、その珍なる味を、
心ゆくまで堪能したい、と思っております。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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