イヌセンボンタケに、センボンクズタケ、
そして、センボンクヌギタケ、などなど、
名前名称に「センボン＝千本」とあったら、
日本語的には、きのこに限らず、
ぶわ〜っとたくさんあるもの、と相場が決まってます。
もちろん、今回登場した、センボンイチメガサも、
大きくはありませんが、同時にたくさん発生します。

名前のもう半分「イチメガサ＝市女笠」とは、
その昔、上流階級の婦人が外出用として用いた、
てっぺんがとんがった形をしている笠のこと。

ご存知の方がいらっしゃるかもしれませんが、
数年前、秋田県羽後町産のお米・あきたこまちを、
西又葵さんの美少女イラストを用いた袋で売り出したら、
注文が殺到した、というニュースがありました。
その「萌え」米袋に描かれている、
美しいこまち娘がかぶっているのが、
まさに、そう、市女笠です。

まあ、それはさておき（笑）。

市女笠のような形をした大量発生系きのこ、
センボンイチメガサは、食べることができます。
食べられることは食べられるのですが、
タマゴテングタケ、ドクツルタケレベルの、
致命的な猛毒を持つ、コレラタケにそっくりなんです！
しかも、素人目では、判別がほぼ不可能。
（調べるには顕微鏡で胞子の形状を確認します）
と、いうことで、判定に余程自信がなければ、
君子危うきに近寄らず、ですね。

ええと、ぼくは、何を隠そう、
このきのこを、食べたことがあります。
我が恥をさらすようですけど、実は、数年前まで、
ボリボリ（ナラタケ）だとばかり思い込んでいたんです。
（味も、決して悪くはなかったような……）
ある時、図鑑を調べていて、それが、ボリボリではなく、
センボンイチメガサだと知ったときのショックたるや。
食べられるきのこだったから良かったものの、
もし、コレラタケを誤食していたら……。
ひ〜。

まだまだ精神的修行も足りず、
きのこを食べて死ぬなら本望さ、
とまでは、とてもとても言い切れませんので、
これからも、最善の注意を払って、
きのこと付き合っていきたい、と思っております、はい。

ちなみに、蛇足ですが、
センボンイチメガサが属するのは、モエギタケ科。
モエギタケ、萌黄、萌え……。
萌え系きのこ、と言えなくもない……、かな（笑）。