おしい!食べられるんです!
ニカワジョウゴタケ 食
写真と文章/新井文彦

薄い焦げ茶色、というか、
茶色混じりのオレンジ色というか、
まあ、そんな感じの色で、
触ると、ぷるぷるぷりぷりしていて、
漏斗(じょうご)のような形状。

その名は、ニカワジョウゴタケ。

膠(にかわ)のような、
漏斗(じょうご)のようなきのこ。
ほぼ完璧なネーミングじゃありませんか。

と、言いつつ、日常生活で、
膠を目にする機会は少ないかもしれません。

膠は、動物の骨や皮などを石灰水に浸し、
煮て凝縮し、乾かして固めたもの。
その、純度の高いものが、
食品や医薬品として利用されているゼラチンで、
精製度の低いものが、膠です。
写真の乳剤とか、製紙、染色などに用いられるほか、
高級な家具や楽器の接着剤としても使われています。

そうそう、数年前に、
マーチンギターをオーバーホールに出したとき、
ギター屋さんの、いかにも職人というおじさんが、
パーツも膠も純正のものを使っているから安心してね、
ってなことを言ってました。
膠は、完全に接着してしまうのではなく、
熱を加えるとはがせるから、修理にも便利なんですね。

この膠、すなわち、ゼラチンの原料は、
女性の皆さまにとって、興味津々、
お肌を、ぴちぴち、ぷるぷるにすると言われている、
あの、健康食品界のエース、コラーゲンですな。

さて、この、ニカワジョウゴタケ、
一応、食べることができるようです。
随分、持って回った、自信のない書き方ですが、
実は、ぼくが愛用する、
山と溪谷社の二つのきのこ図鑑には、
食不適、もしくは、食毒不明、とある一方、
「北海道きのこ図鑑」「北海道のキノコ」では、
可食、となっているわけでありまして……。
と、いうことで、
このきのこを食べることは、
ほとんど問題はないでしょうけど、
あまりオススメはできません。

ちなみに、コラーゲンですけど、
たくさん食べたところで、体内では、
分子レベルまで分解されたあとに吸収されるため、
コラーゲンの更なる生成に寄与するとは限らないとか。
当たり前のことなんですけど、
健康や美容やアンチエイジングのためには、
特定の食品やサプリメントに頼り切るより、
栄養バランスのいい食事を心がけることが、
いちばん大切なのではないかと思います。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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