ムラサキフウセンタケ 食不適
写真と文章/新井文彦

紫は、昔から、高貴な色とされてきました。
どうです、きのこにして、このしっとり鮮やかな色。
ほんと、惚れ惚れしてしまいますねえ……。
ムラサキフウセンタケ、です。
今後、ぜひ、お見知りおきのほどを。

赤に青を足す、というか、
赤と青との中間色が、紫色ですね。
英語の「violet」は、青味がかった紫色のことで、
赤味がかった紫色(すみれ色)は「purple」です。

粋な日本語で言うなら、
「purple」は、しっぽりとした、京紫。
「violet」は、いなせな、江戸紫。
(海苔の佃煮ではありません!)
ひと口に紫色と言っても、色だけに、色々ですねえ。

ぼくは「浮雲倶楽部」というウェブサイトを、
10年くらい前からつくっているのですが、
専用のソフトウェアを使うことなく、
普通のテキストエディタでHTMLを書いてます。
(意味がわからない人は、ぐぐってくださいね)

タイトルはうろ覚えなのですが、
『柴犬でもわかる、ホームページの作り方』
みたいな本を読みながら、ちゃちゃっと作って、
以来、10年、ず〜っっっっと同じ方法。
つまり、まったく進歩がありません(笑)。

で、ウェブサイトで色を使う場合には、
カラーチャートなどを参考にして、
英語と数字、6桁の組み合わせを指定するのですが、
(例えば、紫色は、#800080)
いわゆる、基本16色(標準16色)に限っては、
英語で色の名称を書くと表示できるんです。

紫は、基本16色(標準16色)なので、
「violet」と書けば色を指定できます。
そうして、ウェブで表された紫色が、まさに、
ムラサキフウセンタケの色なんですよ、はい。

ま、色のことは、ともかく。
成長すると、直径が10cm以上にもなる、
ムラサキフウセンタケの傘の表面は、
まるで繊維質のようなささくれが、
びっしりと覆ってますが、これとは別に、
微細な毛が覆う場合もしばしばあるようです。

柄の下部が、ぷっくりと膨らんでいることや、
残念ながらこの写真では写っていませんが、
柄に「クモの巣膜」と呼ばれる、
糸くず状の内被膜の名残りがあるのは、
フウセンタケの仲間に共通の特徴。
手にしてみると、想像以上に、軽いんです。
水に浮くかと思うくらい。

昔の図鑑の多くが食べられると書いてありますが、
消化器系の中毒を引き起こすオレナリン類を含むため、
最近では、食べない方が無難、とされています。
この、きれいな紫色の、大きなきのこを食べたい、
という欲望は、わからないでもないのですが、
おいしいきのこは他にいくらでもありますから。
我慢、我慢。

広葉樹林に発生するのがムラサキフウセンタケ、
針葉樹林に発生するのがミヤマムラサキフウセンタケ、
と、厳密には区別されているようですが、
外見だけでは、ほとんど見分けがつきません。

蛇足ながら、写真のムラサキフウセンタケの、
傘が変形して割れているように見えるのは、
たまたまこうなっているだけです。
え?お尻みたい?
いやん。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
感想をおくる とじる ツイートする