ジャガイモタケ 食不適
写真と文章/新井文彦

微妙な言い回しですが、
ある程度の年齢より上の人にとっての、
北海道のイメージは、眞木準さんがつくった、
「でっかいどう。北海道」
という、名作中の名作広告コピーに尽きるかと。

北海道、特に道東地方は、本当にでっかいです。
広々としていて、圧迫感とは無縁です。
気持ちいいです。

内地は梅雨時で、じめじめじめじめしていても、
梅雨が無い北海道は、吹く風も爽やか。
吸い込まれるような青い空に、ぽっかり浮かぶ白い雲。
地平線まで続いているかと思える、広大な緑の大地……。
ま、実際は、
そんなイメージ通りにはいかないのですが(笑)、
初夏の北海道、いいですよお。

花より団子、なんて言いますが、
食物がおいしいのが、また、北海道の大きな魅力。
7月の声を聞けば、道内産の新ジャガが出回り始めます。
男爵に、キタアカリに、メークインなどなど、
ジャガイモにもたくさんの種類があり、
それぞれ、味の違いが楽しめます。

さて、今回ご紹介する、ジャガイモ、もとい、
きのこは、その名もズバリ、ジャガイモタケ。
わはは。
ジャガイモだ、ジャガイモ。
見つけたのは、夏の盛り、8月の初め、まさに、旬。
誰かがジャガイモを落としたとしか思えません。

見た目はもちろん、触った感じも、
ほとんど、ジャガイモそのもの。
大きさは鳥の卵くらいです。

では、早速、調理してみましょう。
茹でたてのほっかほかに、たっぷりのバターを。
または、スライサーで薄く輪切りにし、
180度の油に入れて焦げ目がつくまで揚げ、
ペーパータオルにとって、塩を少々。
と、オススメ調理方法は、いたってシンプル。
ジャガバターも、フライドポテトも、
ジャガイモ料理の超王道ですな。

って、嘘です(笑)。
ジャガイモタケ、食べられませんから。
半分に切ってみると、中は白く、
時間とともに、赤紫〜黒く変色します。
外側も、触っているうちに、どんどん黒くなります。
香りは、ほとんど、なし。

森でジャガイモを見つけるということ自体、
あんまり想像できないっすけど(笑)、
もし、森で、ジャガイモが落ちているのを見つけたら、
ジャガイモタケというきのこが存在していることを、
そっと思い出していただければ幸いです。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
感想をおくる とじる ツイートする