昼なお薄暗い、阿寒の森。
鬱蒼とした針葉樹の間を縫うように歩いていると、
ぼわっと、ほのかな、白い灯りが……。
ハナビラタケです。
いろいろな種類の白い花びらを、
これでもか、これでもか、と次々に重ねつつ、
球状にぐりぐり固めて、はい、できあがり。
そんな形状をしております。
まさに、花びらのかたまりのような形のきのこ。
英語では「カリフラワーマッシュルーム」と言うそうな。
また、マイタケに形状が似ているので、
(種類的にはまったく別ですが)
マツ類から生えるマイタケ、という意味で、
「マツマイタケ」などと呼ぶ地方もあるようです。
ここ北海道では、
トドマツ、エゾマツ、アカエゾマツ、カラマツなど、
主にマツ類の針葉樹の根本から発生します。
マツタケなどの菌根菌は、
菌根をつくってマツと栄養のやりとりをし、
共生しているのに対し、
ハナビラタケは、根や地際の樹皮の傷から木に侵入、
根本から上に向かって徐々に菌糸を伸ばし、
養分を吸い取った挙句に腐らせてしまいます。
そう、マツの天敵なんです!
ハナビラタケの菌糸が侵入した木は、
褐色方形腐朽、と呼ばれているのですが、
だんだん黒っぽくなっていき、かつ、もろくなり、
四角い小ブロック状に崩れるようになってしまいます。
木の根本にハナビラタケが見られるようになると、
取り返しがつかないくらい腐朽が進んでいるということ。
木に明るい未来はありません……。
マツなどの木々にとっては、
死神と言っても過言ではないハナビラタケですが、
ニンゲンにとっては、素晴らしい自然の恵み。
さっぱりとした味、絶妙の歯ごたえで、
ピクルスや酢漬け、炒め物、汁物に最適です。
似たような形状の毒きのこもないので、同定も容易。
見つけたら、即ゲットしたくなる逸品でございます。
ハナビラタケの直径は、
通常、10〜30cmくらいなんですけど、
この写真のきのこは、なんと、なんと、
直径が軽く50cmはあろうかという、超特大サイズ。
これほどの大物には、
そうそうお目にかかれるものではありません。
ありがたく、撮らせて、かつ、採らせていただいて、
みんなにおすそわけしました!
このハナビラタケは、ここのところ、
人工栽培が盛んに行われているのですが、
何を隠そう、食用にするだけではなく、
腫瘍、高血圧、糖尿病に効果が期待できる「薬」として、
その世界(?)では、けっこう有名なんですね。
サプリメントも、たくさん販売されています。
そして、ハナビラタケは、ニンゲンだけではなく、
にゃんこや、わんこにも薬効が期待できるのだとか。
にゃんと、ワンダフル!
失礼いたしました……。 |