イメージ、というものは恐ろしいもので、
思い込んでしまうと、修正するのは、
なかなか厄介です。
例えば、ぼくは「森」と聞くと、
すぐさま緑色を思い浮かべてしまい、
その反動なのでしょうが、漢字の「森」を見ても、
印刷されている色が何であろうが、
なぜか、緑色に見えてしまいます(笑)。
ちなみに、同じイメージ路線で言うなら、
漢字の「木」は焦げ茶色、
それが二つ重なった「林」は、茶色に見えます。
今のところ、日常生活に弊害はないので、
とりあえずは深く考えないようにしてますが……。
さてさて。
まずは、今回の写真を、じっくりご覧あれ。
紅葉したナナカマドの葉っぱが、
ところどころに落ちていますけど、
写っているものの多くが、緑色です。
風に揺れてちょっとブレているシダの葉っぱも、
トドマツの幼木も、ハクサンシャクナゲも、
ゴゼンタチバナも、ミミコウモリも、
ミツバオウレンも、もちろん、オオスギゴケも、
みんな、みんな、緑色。
ひと口に同じ緑色と言っても、
植物の種類によっても色は違うし、
同じ植物でも葉っぱ1枚1枚が違った緑色をしてます。
自然の表現力たるや、素晴らしい!のひと言ですな。
そう、そして、我らがきのこも、緑色!
葉緑素を持ってないけど、緑色!
その名も、クサイロハツと申します。
今後、ぜひ、お見知りおきのほどを。
この写真では、残念ながら、
多少色落ちしたような緑色ですけど、
クサイロハツの名誉?のために申しておくならば、
実際のフィールドで見かける個体は、
翠色というか、翡翠色というか、青みがかった、
そりゃあきれいな緑色をしているものも多いです。
これまで、日本では北海道のみ見られるとか、
逆に、北海道での初確認は1990年代だとか、
諸説、もろもろあったようですが、
今現在、阿寒湖周辺では、
カンバ類の森、あるいは、トドマツの森、
もしくは、両者が混然としている針広混交林で、
夏から秋にかけて、普通に見られるきのこです。
傘の大きさは3〜10cmくらい。
最初はこぶしのようにぎゅっとすぼまってますが、
成長するにつれ、まっ平らになるくらい開いていき、
真ん中が窪むくらいに反り返ることも。
湿っている時には、やや、粘性があります。
食べられる、とのことですが、
ぼくは、まだ食べたことがありません。
味はそれほど悪くないらしいですが……。
ハツ系のきのこで、可食と言われているものは、
食べてもぼそぼそしておいしくないけど、
いい出汁が出る、という先入観があるのですが、
クサイロハツは、いったい、どうなのでしょう?
食べた方は、ぜひ、感想をお聞かせください。
似ているきのこに、
アイタケやカワリハツ(緑色バージョン)がありますが、
アイタケは傘の表面がひび割れているし、
カワリハツは傘の色がきれいな緑色にならないことで、
そこそこ区別することができます。
(ちなみに、両者とも食べられます)
まあ、何はともあれ、
ミドリハツ、ではなく、クサイロハツ、
と名付けた方のセンスに、称賛の拍手を送ります。
ブラボー。 |