不正解、食べられます!
クヌギタケ 食
写真と文章/新井文彦

あっ、きのこ玉だ!
と、この写真のきのこを見つけたとき、
思わず叫んでしまいました。

きのこによるかくし芸か、はたまた、マスゲームか!
気品すら感じさせる、素晴らしい造形です。
きのこのアート、ではなく、きのこがアート(笑)。
まさに芸術と呼んでも過言ではありません。

と、まあ、今回は、のっけから、
テンションが上がっております。
偶然にも、こういうきのこと出会ってしまうから、
ますます夢中になってしまうんですよねえ……。

で、この、美しい球体を構成しておりますきのこ、
その正体は、クヌギタケでございます。
もちろん、常に球体を形成するわけではありません。
よく束になって生えるものの基本的には地味なきのこです。

クヌギタケは、名前のとおり、夏から秋にかけて、
クヌギやコナラなど、広葉樹の枯れ木から発生します。
傘の直径は3cm前後で、まあ、小さい部類に入るかな。

で、なんと、このきのこ、食べられます。
とはいえ、傘の肉は薄いし、柄は硬いし、
何というかちょっとホコリ臭いし……。
それでも、食べたい人がいるんでしょうけど(笑)。
食用の価値という意味では大いに疑問が残ります。

それにしても、美しい球体です。
きのこに意思があるわけではありませんが、
こういう球体を形成している理由は何なんでしょう?
そんなことをあれこれ想像するのもまた楽し、です。

自然界における球体、といって、
真っ先に思い浮かべるとしたら月ですかね。
地球は地軸を中心にぐるぐる自転をしていて、
遠心力の影響でわずかに赤道方向が長いので、
月の方が、よりまんまるらしいです。

ちなみに、
自然界で最も完全な球体に近いものは、
我らが太陽なんだそうです。
ただし、地球のような惑星とは異なり、
はっきりとした表面が存在するわけではありませんが。
まあ、当たり前って言えば、当たり前ですよね。
がんがん燃えまくっているわけですから。

太陽の中心核では、
水素がヘリウムに変わる熱核融合反応が起きていて、
それが巨大なエネルギーを発生させているんですね。
火が燃えるのとは、スケールも原理も違います(笑)。
実は、この地球は、この先約50億年後に、
巨大化した太陽に飲み込まれる運命なんですよね。
あ、もしかしたら、
天の川銀河とアンドロメダ銀河との衝突が早いかも。

どっちにしろ、さあ、大変だ!
と、50億年先のことを考える前に(笑)、
我々、現代に生きる人間としては、
とりあえず、この先、5年後、10年後のことを、
多いに心配せねばなりませんよねえ。

人間の未来にも、きのこの未来にも、
たくさんの幸せがありますように……。
きのこ玉に願いを。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
感想をおくる とじる ツイートする