コフキサルノコシカケ 食不適
写真と文章/新井文彦

風邪をひいた時、というか、病気になると、
自分の身体なのに自分では制御しきれない、
という事実に気づきます。
さらに、管理しきれないし、理解しきれない。

そう、普段はけっこう忘れがちなんですけど、
人間は自然の生き物であり、自然そのもの。
なかなか人間(自分)の思い通りにはなりません……。

思った通りにしたい心(意識)と、
思った通りにはならない身体。
心と身体の関係性って、人と自然の関係性に、
なんとなく似ているような気がします。

ぼくは、夏から秋にかけては、ほぼ毎日森へ通い、
自然そのものを肌で感じているわけですが、
街で暮らしている普通の人?にとっては、
間接的な情報としての自然の方がリアルなわけで……。

なるべく多くの人に、機会をつくっていただき、
ぜひ「生」の自然に触れてほしいなあ、と思います。
良いも、悪いも。

さて、今回登場したきのこは、
コフキサルノコシカケ、と言います。

多くのサルノコシカケの仲間と同様、
多年生で、年々大きく成長していきます。
表面は固くて、灰褐色やチョコレート色。
粉吹き、という名前の通りに、
ココアのような胞子をびっしりかぶってたりします。
とても食用にはなりませんよね。

「コフキサルノコシカケ」を、
インターネットでググってみると、
一番目につくのは、民間薬としての利用云々。
(想像以上に販売価格が高い!)
もし、お薬として利用したい場合は、
医師に相談するなど、くれぐれも慎重に。

コフキサルノコシカケは、かつて、
ヒダナシタケ目サルノコシカケ科に分類されていて、
その後、ヒダナシタケ目マンネンタケ科に移され、
さらに現在では、
タマチョレイタケ目タマチョレイタケ科とされています。

現在、遺伝子的な解析の進歩により、
分類体系が縦横無尽に改変されまくっておりますが、
コフキサルノコシカケも、その余波を受けた感じで、
分類学的に今ひとつ定位置に
落ち着けない状況のようです。

あと、最近の研究によると、いくつかの類似種が、
混同されている可能性もあるのだとか。
ま、ぼく的には、分類は、二の次なんですけどね(笑)。

分類は、地球上の生物を、一定の規則をもとに、
体系立てて理解しようというものですが、
自然はとうてい一筋縄ではいきません。

人の思惑通りにならないのが自然ですからね。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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