森へ行くと、自分の中にある、
何か特別な感覚が覚醒するような気がします。
うわあ、赤いきのこ、きれいだなあ……。
黄色のきのこ、かわいいなあ……。
緑のコケ、美しいなあ……。
などなど、
ちょっと大袈裟な言い方をするならば、
とにかく、見るものすべてに、
どきどき、わくわくしちゃうんです。
いつも見慣れているはずのものであっても関係なし。
当たり前のものを当たり前だとみなさないことを、
森が、自然が、教えてくれるような気がします。
例えば、赤いきのこは、何故赤いのでしょう?
そもそも、赤く見えるのはどうして?
じゃあ、コケが緑色に見えるのはなぜ?
と、
単純に、色のことだけでも、
不思議なことでいっぱいのような気がするんですよね。
単にぼくの知識の欠如なのかもしれませんが(笑)。
ねえねえ、あなた、知ってます?
モノに色がついているわけではないってこと。
そう、色を色と感じるためには、
モノと、光源と、視覚のセットが必要なんです。
赤いきのこが赤く見えるのは、
きのこを照らしている光のうち、
きのこに吸収されず反射した波長の光のみが目に入り、
それを、視細胞で感じて、視神経で脳に伝えて、
その結果、脳が「赤い!」と判断するから。
そう、色の決定には、自分も関わっているんです!
色のことだけに色々書きたいことがあるのですが(笑)、
それよりも、今回の主役の話を……。
主役は、もちろん、きのこ。
アカヒダササタケです。
夏から秋にかけて、針葉樹林の地上で見られます。
けっこう群生することも多いとか。
傘の直径は3cm前後とあまり大きくはなく、
傘も柄も、褐色を帯びた黄色、または黄土色系。
このササタケ系のきのこには、共通して、
アントラキノンという色素を含んでいて、
それが、黄色っぽい色の元なんだそうです。
最大の特徴は、何と言っても、傘裏のヒダの色。
その名の通り、暗めの赤い色なんです。
採取して、傘裏を見ると、おお!と思うはず(笑)。
触った感じでもわかるのですが、
表面には粘性がなく、ぱさぱさした感じ。
食不適、と各種図鑑にあるということは、
味も、当然、歯ごたえも、
よくないということでしょう。
ちなみに、
きのこの周りに生えている赤い物体は、
地衣類の、コアカミゴケ。
赤い部分は、胞子をつくる、子器です。
きのこと、コケと、地衣類の三重奏。
撮影したのは、アカエゾマツの森です。
ぼくは「きのこ目」という言葉をよく使いますが、
それは、きのこを見つけるための目であるとともに、
自然を観察するための目でもあると思うんです。
不思議な事、エキサイティングな事で溢れているのに、
それに気づかないのはもったいないですよね。
森でも、そして、街でも。 |