シロホウライタケ 食不適
写真と文章/新井文彦

「男子三日会わざれば刮目して見よ」

ということわざがあります。
原典は、ぼくも大好きな『三国志演義』の、
(吉川英治の『三国志』は必読です!)

「士別れて三日なれば刮目して相待すべし」

で、日々学習し、鍛錬し、努力をしている人は、
3日も会わなければ目を見張るほど成長している、
という意味ですね。

男子の成長は著しいので3日も会わなければ別人だ、
という感じの、さらっとした解釈も可能かと。
女子は、まあ、ええと、何といいますか、
お化粧で、がらっと変わる方がいらしゃいますな。
「30分会わなければ刮目して見よ」とか(笑)。

そしてもちろん、我らがきのこの子実体も、
日々成長どころか刻々成長・変化していたりします。

ですから、森へきのこウォッチングへ行く場合、
同じ場所へ頻繁に通ってそのきのこの変化に着目する、
という楽しみ方もあれば、
いろいろな場所へでかけて、一期一会的な、
その場限りの「出会い」を堪能する、
という楽しみ方もあるわけです。

さてさて、
今回ご紹介するきのこの写真をとくとご覧あれ。
名前こそ、シロホウライタケ、ですけど、
透明というか半透明というか、透けて見えます。
何と美しい……。

シロホウライタケは、
別に珍しいきのこではありません。
かつて「きのこの話」でご紹介した、
アシグロホウライタケの仲間です。

夏から秋にかけて、枯れた樹木や落枝から発生し、
多くの場合、群生しています。
傘の直径は1〜3cmくらいで、
その名前の通り、傘も柄も、真っ白。
触ってみるとけっこう固くて、
白い粉状のものが付着している場合もあります。

毒は無いようですけど、
小さいし、固いし、食べるには向きません。

秋の初め、森を歩いていて、
このシロホウライタケを見つけたんですよ。
その時は、写真を撮るでもなく放置。
その日の夜、しとしとと雨が降ったので、
もしや、と思って、翌日見に行ったら、ビンゴ!
真っ白だった傘が見事透明に!
そう、シロホウライタケは、
雨に濡れると、透けて透明になることがあるんです。
傘がとても薄いからかなあ?

きのこ一日会わざれば刮目して見よ、ですな(笑)。

緑の木々をバックにした透明きのこ……。
もう、写真を撮りまくりました。
透明な傘はもちろん、ホウライタケの仲間によくある、
疎らなヒダの感じがまたたまりませんよねえ。
ああ、うっとり。

ちなみに、蓬莱(ほうらい)とは、
古代中国でいう仙人が住むという仙境のこと。
俳句をたしなむ方ならご存知かもしれませんが、
新年の季語です。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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