これは、食毒不明なんです。
ニガクリタケ
猛毒
写真と文章/新井文彦

ぼくは、きのこの写真を撮ることが仕事なので、
食べる食べない関係なしに常にきのこを探しています。
でも、普通の人が、きのこを探すとしたら、
きっと多くの場合、食用とするためでしょうねえ……。

食べることについては、古今東西老若男女関係なしに、
程度の差は多少あれ、みんな、けっこう貪欲ですよね。
そりゃあ、誰だって、
よりおいしいものが食べたいに決まってます。

もちろん、きのこ、おいしいです!
しかも、嬉しい、低カロリー。
安全でおいしいきのこを食べたいと言う方には、
絶好の、きのこ狩りスポットをお教えしますね!

近所のスーパーマーケットです(笑)。

さて、冗談はさておき、
今回ご紹介するきのこは、
ただの毒きのこ、ではなく、猛毒きのこです。
その名も、ニガクリタケ。

春から秋にかけて、広葉樹、針葉樹を問わず、
立ち枯れた木の幹や切り株に群生する小型のきのこで、
淡い黄土色をした傘は大きなものでも直径5cmほど。
ヒダもほぼ傘と同じ色をしています。

誤食すると、食後数十分から数時間で、
舌のしびれ、腹痛、嘔吐、悪寒、下痢などが起こり、
さらに、脱水、痙攣、意識不明などを経て、
ついには死に至る、という、
書くのも恐ろしい猛毒きのこです。

秋に、広葉樹の枯れ木などで見られる、
人気の食用きのこ・クリタケにそっくり!
要注意です。

実は、クリタケとニガクリタケを見分ける、
ほぼ完全な方法があるんですね、これが。

それは、ちょっとだけ、齧ってみること……。
うわ、猛毒きのこかもしれないのに齧るのかよ!
と思った人も多いと思いますが、
ちょっと齧ってすぐにぺっと吐き出せば問題なし。
それがニガクリタケだった場合、
その名前の通りのすごい苦味と渋味が襲ってきます。
ひ〜、ぺっぺっぺ。

齧って苦かったら、ニガクリタケ。
なんて、わかりやすい!

ニガクリタケは、猛毒を持っているし、
似ている食用きのこがあるにも関わらず、
中毒する事例が少ないんです。
つまり、毒がある、ということ以前に、
とてもじゃないけど苦くて食べられないってこと。

何度も何度も繰り返して言ってますけど、
野生のきのこを食べる場合は、
軽い気持ちで「チャレンジ」しないよう、
どうぞ、くれぐれもご留意のほどを。
ベテランになってなお、時に中毒してしまうのが、
きのこの恐ろしいところなんですから……。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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