アミヒラタケ
食不適
写真と文章/新井文彦

雌阿寒岳の中腹あたりを水源にして、
やがて阿寒湖へと流れ入る小さな沢の水は、
真夏でも手足がちぎれるほど冷たく、
これぞ清流!と言いたくなるほど澄んでいます。

今や、都会じゃなくても、水は買って飲むのが当たり前、
水道水なんかとても飲めない、なんていう時代ですが、
目の前を流れる、この冷たくて、澄んでいる、
超一級のミネラルウオーターは、タダです(笑)。

だからやっぱり阿寒の自然はすごい!
とついつい言いたくなっちゃいますが、
ええ、違います、違います。

森の水にしても、空気にしても、タダなのではなく、
とてもお金には換算できないほどの価値がある、
ということなんですよねえ……。
いつまでも、きれいな水と空気がなくならないよう、
自然に対しては、できるかぎり、
ローインパクトでありたいと思っています。

そして、よく知られていることですけど、
エキノコックス症に感染する可能性があるので、
北海道の「生水」を直接口にするのはよしましょう。
(詳しくは、ぜひ、おググりあそばせ……)

さて、そんな沢沿いの枯れたニレの木に、
巨大なきのこがたくさん!
アミヒラタケです。

傘は黄褐色〜木材色で、さらに濃い色の鱗片が圧着。
直径は大きなものでは50cmを超えることがあり、
厚さも1cm〜4cmくらいに。
傘の裏は網目のように多数の穴が空いたスポンジ状です。

幼菌の時は、ほぼまん丸なのですが、
太くて短い柄は、中心からずれているので、
成長するにつれて半円形〜扇型になります。

広葉樹の枯れ木などに、初夏から秋にかけて、
けっこう長い間見ることができるのですが、
発生するのは、主に初夏と秋なので、
成菌になってからわりと長持ちするきのこです。

クイズの答えは「食不適」にしたのですが、
実は、柔らかい幼菌は食べられるんです。
味もそれほど悪くないとか。

しかしながら、このきのこ、
食べられる期間が、本当に短いんです。
幼菌で見つけたとしても、
すでにコルクのようにしっかり固かったり。
ですから、多くの場合、見つけても食べられないんです。

見たり触ったりするきのことして、
大いにオススメしたいと思います!

あ、そうそう、香りがやや爽やかなんですよ。
「やや」というのはあくまでもきのこだから(笑)。
ちょっと果物っぽい香りがします。
え〜と、スイカ臭かなあ……。

ちなみに、阿寒湖温泉街の水道の水源は、
同じく雌阿寒岳方面から流れ出ている沢。
おそらく都会では考えられないでしょうけど、
水道だとは思えぬくらい真夏でも本当に水が冷たいです。
室内の気温が高いと水道管が結露してしまい、
水滴がポタポタと落ちるほど。
とても水道水とは思えないほどのおいしさです。
これまた、ぜひ、お試しを。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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