これは、食毒不明なんです。
ナガエノチャワンタケ
食毒不明
写真と文章/新井文彦

小雨が降りしきる、夏の朝。
阿寒川源流部へ流れ込む小さな沢を、
上流に向って歩いていると、
毒きのこの、ヒロヒダタケを発見。

木々の葉の緑が、雨に濡れてきれい。
きのこの背景に青葉を入れるには、
カメラを三脚から外しての、
地面直置きローアングル撮影が不可欠。
ま、防塵防滴仕様のカメラだからいいか。

しか〜し。
生地は薄いものの防水には定評がある、
ゴアテックスのレインウエアを着込んでいても、
下が濡れている場合腹ばいにはなりたくないわけです。
だって、汚れるんだもん(笑)。

きのことの出会いは一期一会なのだ!!
と、強く自分に言い聞かせ、いやいやながら、
歩伏前進するがごとく地面に寝そべって、
たくさん写真を撮りましたよ。
撮らないことの後悔はしたくないですからねえ。

アングルを変えて撮影しているとき、
きのこ目センサーがぴぴぴと何かを捉えました。
川沿いの地面に、もっと小さいきのこ発見!
ナガエノチャワンタケだ。

写真をよ〜くご覧あれ。
ナガエノチャワンタケの右後方に、
ヒロヒダタケもちらっと写っています、はい。

ナガエノチャワンタケは、夏から秋にかけて、
トドマツや広葉樹の林地で見ることができます。
長い柄を持つチャワンタケ。
まさに、そんな名前の形をしていますよね。

胞子をつくる頭の部分(子嚢盤)の形は、
一般的には、最初、茶碗形をしていて、
それが徐々に開いて皿形になる、
といった個体が多いようなのですが、
この写真のように鞍形になることも珍しくないとか。

子嚢菌なので、胞子がつくられるのは、
鞍型の頭部の毛が生えている外側ではなく、
やや巻き込まれたてっぺんのつるつるした部分です。

色は柄の方がやや薄めながら暗褐色〜灰褐色、
全体を細かい毛がびっしり覆っています。
頭部の直径は1.5〜3cmほどで、
高さは5〜8cmくらいです。

形を見るとなるほど!と思うのですが、
ナガエノチャワンタケは、
以前紹介したノボリリュウタケの仲間なのですよ。

ノボリリュウタケの仲間については、
まだまだ未解明の部分がたくさんあって、
ナガエノチャワンタケの食毒も詳細は不明ですが、
例え、毒性がない、と判断されたとしても、
ごく少量しか採取できないので、
食用には向かないでしょうね。

それにしても、雨が降っていると、
撮影に出かけるのが億劫になっちゃいますが、
実は雨降りの森って、とても魅力的なんですよねえ。

一応、カメラは防塵防滴仕様だし、
服が濡れたら乾かせば済むし、
雨を厭うことなく、森へ出かけて、
一期一会のきのこ写真を撮るべく、
できる限り、そう、できる限り、頑張ります(笑)。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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