食毒不明。疑わしきは食せず。
ツキヨタケ
毒
写真と文章/新井文彦

食べるつもりで採取して、
それが毒きのこだった場合は命にも関わります!
石橋を叩いて渡る用心深さが必要です。

誤食率ナンバーワンの毒きのこと言えば、
この写真のきのこ、ツキヨタケです。
「きのこの話」の3話目に登場してます)

北海道の例で言うなら、
昭和45年から平成25年までの44年間で、
198件(749人)のきのこ中毒が発生しており、
きのこ別ではツキヨタケの中毒が42件でトップです。
(札幌市保健福祉局保健所調べ)

間違えて食べられることが多い、ということは、
ツキヨタケに似ているきのこがあるわけで、
ムキタケやシイタケなどが、その代表。

ムキタケは、形が似ているのはもちろん、
同じ木に同時発生することもあるってんですから、
石橋を叩き壊して渡らないくらいの(笑)、
第一級の注意が必要です。

ツキヨタケは、夏の終わりから晩秋にかけて、
ブナやミズナラ、カエデ類など、
広葉樹の枯れかけた木、あるいは倒木から発生します。

基本的には、いわゆる半円形で、
傘の色は初め黄褐色のちに紫褐色、暗褐色に。
よく見るとムキタケやヒラタケとは違い、
ツバを持つ短い柄があるんですよ。
はい、これ、重要なポイント!
個体によってはけっこう長い柄を持つものがあるので、
傘の色が似ているシイタケと間違えちゃうんですねえ。

そして、その柄の根本を切ってみると、
黒いシミが見られます。
これも、すごく重要なポイントです。

そして、そして、
前回ご紹介したとおり、暗闇でうっすらと光る、と。
儚い光ながらも、美しくきれいです。

しかしながら、
個体によっては柄がわかりづらかったり、
虫が食べたりしてシミが消えていたりと、
一筋縄ではいかないのが、きのこなんですねえ。

あと、シイタケの場合は、
あの、芳しい、シイタケの香りがします。
つまり、香りのない「シイタケ」は採取しない!

ムキタケの場合は、全身水分たっぷりのうえ、
名前の通り、傘の表皮が簡単にむけます。
表皮が簡単にむけない「ムキタケ」は採取しない!

ゆめゆめ忘れるなかれ。

食べてしまった場合、
食後30分から1時間くらいで、
嘔吐、腹痛、下痢など、
胃腸系の中毒症状が現われます。

ちなみに、毒きのこの話ではありませんが、
ぼくは、絶対に間違えないという自信があった、
マツタケとマツタケモドキを混同したことがあり、
(マツタケモドキは食用ですがおいしくありません)
しかも、それを、人に送ってしまったわけで……。

幸い、受け取った方が、
香りで簡単に分別できた、ということでしたが、
未だに、なぜ、あの香り豊かなマツタケと、
まったく香りがないマツタケモドキを混同したのか、
理由がわかりません(涙)。

初心忘れるべからず……。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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