ワタカラカサタケ
食不適
写真と文章/新井文彦

ぼくは「きのこ写真家」を名乗っているので、
きのこに詳しいと思われがちですが、
ここで、きっぱりと断言しておきます。
あまり知識はありません!

時折、このきのこの名前を教えて下さい、と、
twitter や Facebook、あるいは、
写真添付のメールで尋ねられたりするのですが、
答えられない場合がほとんどです。

と、いうか、きのこの同定に関しては、
多くの場合、食毒も関係してくるので、
安易に答えられない場合も多々あるわけで。

特徴的なきのこであれば、
テングタケの仲間とか、
フウセンタケに類する何かとか、
その程度のことは言えることもありますが、
同定依頼で添付されている写真ときたら、
単に真上や真横から写しただけの、
絶望的なほど「情報」が不足しているものばかり。

写真1枚できのこの同定ができると思っている人は、
おそらく、きのこに関しては初心者でしょうから、
きのこの同定は実のところけっこう難しい、
ということを、まずはご理解いただきたく存じます。
(調べるにしてもすごく手間がかかるんですから!)

そもそも、ぼくは、
きのこの分類や同定にはあまり興味がなく、
阿寒の森でかわいいきのこが撮影できれば、
それでよしとしているわけで、
この「きのこの話」に掲載しているきのこについても、
話半分くらいの感覚でお付き合いいただけると幸いです。

さて、今回ご紹介するきのこは、ワタカラカサタケ。
おそらく、きっと、たぶん、ワタカラカサタケ、
だと思いますが、言い切る自信はありません(笑)。

夏から秋にかけて、主に広葉樹の地上から発生。
全体を眺めれば、名前の由来が一目瞭然ですね。
そう、傘の縁も柄も白い綿のようなものを帯びています。
ふわふわ。

黄土色を帯びたフェルト状の傘は、
開くにつれ細かく区画されたようにひび割れます。
柄は、ツバから上が白く絹のように滑らかで、
ツバから下は淡褐色〜黄土色っぽい地の上に、
しっとりした繊維あるいは綿毛のようなものがびっしり。
ツバは、早落性、つまり落ちやすいとか。

食不適。
ふわふわの綿をきれいさっぱり洗い流しても、
食用とする価値はまったくありません。
これだけ特徴的で美しいきのこです。
ぜひ、じっくり、鑑賞していただきたく存じます。

ちなみに、ぼくは、この写真のきのこを、
最初、キツネノカラカサだと思っていたのですが、
掲載するにあたり念のため、と図鑑を調べ直したら、
ワタカラカサタケだったわけで……(笑)。

皆さま、きのこの鑑定を依頼するときは、
最寄りの保健所、あるいは、大学や研究機関など、
「きのこ鑑定」の看板を掲げているところへどうぞ。
しがないきのこ写真家なんぞに依頼すると、
後々後悔する羽目になるかもしれません、はい。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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