正解、食べられます!
フミヅキタケ
食
写真と文章/新井文彦

フミヅキタケの「フミヅキ」は「文月」。
旧暦の7月のことですが、今の暦に換算すると、
8月中旬から9月中旬くらいが相当します。

もちろん、発生時期もその時期!
と言いたいところなのですが(笑)、
内地では、特に春の発生が多いようで、
そのあと秋まで断続的に見られるようです。
我が阿寒湖周辺では7月から9月くらいにかけて、
まさに文月の頃に姿を見ることができますが。

ちなみに、気象庁は、季節を表す用語として、
「春」は3月から5月、「夏」は6月から8月、
「秋」は9月から11月、「冬」は12月から2月、
と定義しています。

でも、現在の東京あたりの実情を考えると、
6月から10月までが夏、という感じですよねえ。
10月に入っても気温が30度を越えたりするし、
神宮外苑のイチョウが黄色くなるのは12月だし……。
ちなみに、我が北海道の体感的実情を、
四季に加味するのであれば、おそらく、
11月から4月までの半年間が冬です(笑)。

沖縄では3月から4月くらいに海開きが行われますが、
阿寒湖あたりならまだ普通に雪が残っている時期。
日本は南北に長いので、
季節感の地域差は大きいですよね。

まあ、季節の話はこのくらいにして、
フミヅキタケの話を……。

多くの場合、発生場所は、草地や道端ですが、
この写真のものは倒木上から生えています。
見ればほぼ全体がコケや地衣類に覆われているし、
いろいろなきのこや粘菌が見られる木なので、
成分的には地面とあまり変わらないのではないか、
と思われます。

ツヤのない黄土色の傘の直径は3〜8cmくらい。
高さはだいたい10cmくらいです。
ヒダははじめ白く、やがて黒っぽくなります。
これは胞子が熟成して黒くなるため。

柄の上部には、条線がはっきりわかるツバがあり、
これも最初は白いのですが、落下した胞子によって、
だんだん黒く染められていきます。

で、このきのこ、食べられます。
「さっぱりした風味で歯切れがよい。
 醤油、ごま油を使った炒めものや煮物によくあう」
(増補改訂新版『日本のきのこ』山と溪谷社刊)
とのことです。

まったく関係ありませんが、
ぼくの名前も、文月生まれに由来します……。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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