ナメアシタケ
食不適
写真と文章/新井文彦

ナメアシタケは、コケの間から発生するきのこ。
この写真では、アカエゾマツの倒木上にコケが生え、
そのコケの間からナメアシタケが発生しています。

きのこって、光と重力を感じるらしいんです。
光がある方向に、にゅ〜っと伸びていき、
傘があるきのこであれば、重力に従って、
傘の裏側を地球の中心に、つまり、下に向けます。
つくった胞子をより効率的に散布するために。

ですから、平らな場所に生えているきのこは、
太陽の光が注ぐほぼ真上に向かって伸びていけば、
そのまま傘の裏側が下を向くことになります。
倒木の真横辺りから発生した場合、
最初はそのまま真っ直ぐ横に伸びていくものの、
やがて空を目指すように上向きに湾曲。
最終的に傘の裏側はしっかりと下向きになります。
なんか、すごいぞ、きのこ。

ところで、ナメアシタケなど、
担子菌類のきのこのほとんどが、
胞子を射出してるってご存知でしたか?
射出!?
胞子って、一般的には、
さらさらと勝手にこぼれ落ちるようなイメージですが、
担子器という器官から発射されているんです、これが。
ますますすごいでしょ、きのこ。

さて、さて、
ナメアシタケの話がお預けになってました(笑)。
発生する場所は、針葉樹、広葉樹林内のコケの間で、
発生時期は、夏の終わりから秋にかけて。
高さは1〜5cmくらいと、小さいけど、
なかなか目立つきのこです。

直径1〜3cmほどの傘は、
赤茶混じりの灰褐色で周縁部は黄色を帯びています。
はじめはたまご形で、成長するにつれ、だんだん鐘形に。
湿っているときには、条線が見られ、かつ、
多少ぬるぬるした粘性があります。

ヒダは白色で、疏。
最大の特徴とも言えるきれいなレモン色の柄は、
徐々に褐色へと変化していきます。

食不適。
まあ、小さいし、量的満足も得られないだろうし、
採取はせず、観察に専念しましょう。

ちなみに、ナメアシタケの「ナメアシ」は、
足を舐めるという危ないフェチ系の意味ではなく(笑)、
滑らかな足、つまり、柄がつるつるしてるの意。
勘違いなさらぬように……。

なお、足フェチの皆さまには、
とっておきのオススメきのこがあります。
どうぞこちらをご覧あれ。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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