食毒不明。疑わしきは食せず。
クサウラベニタケ
毒
写真と文章/新井文彦

さて。
本日ご覧いただくクサウラベニタケは、
日本の毒きのこ御三家とでもいうべき、
中毒例がものすごく多いきのこなんです。

北海道のきのこの食中毒を例をあげるなら、
以前ご紹介したツキヨタケが誤食ナンバー1、
クサウラベニタケが堂々のナンバー2。
他の地方でもおそらく同じような結果ではないかと。
この2種できのこ中毒の7割を占めている、
という説もあるほどです。

何でも、東北地方では、
「名人泣かせ」なんて呼ばれてるとか!
(だから、お店で買うときも要注意!)
シロウトじゃ太刀打ちできません、はい。

中毒する原因は、もちろん、食い意地(笑)。
ウラベニホテイシメジ、ウラベニガサ
ハタケシメジ、ホンシメジといった、
食用のきのこによく似てるんです。

ウラベニホテイシメジとクサウラベニタケは、
近縁種で同属なので、似ているのも当然。
詳しくは、他の資料にあたってほしいのですが、
図鑑とかネットで調べるだけではなく、
ぜひ、きのこに詳しい人に実地で習ってください。
(ムリな場合は、とりあえず、食べないこと!)

クサウラベニタケは、夏から秋にかけて、
ミズナラやコナラなど広葉樹の林地で発生します。
(が、マツやモミなどの針葉樹からも発生例が)
しかも、都市部の公園から、里山、深山まで広範囲に。

傘の大きさは3~8cmくらい。
円錐形から平らに開く場合が多いのですが、
そっくり返っていたり、波打っていたりと、
いろいろなパターンが見られます。
色は灰色~灰褐色~黄土色で、
湿ったときにはやや粘性があり、
乾いたときには絹のような光沢が見られます。

そして、特徴的なのが、傘の裏側のヒダ。
初めは白いのですが、徐々に淡い桜色になります。
(胞子が熟成するにつれて色が変わるんです)

あと、忘れちゃいけない柄の特徴。
白くてツヤがあるのですが、
食用のウラベニホテイシメジもシメジ系も、
似ていると言われているきのこは、
みんな肉がぎっしり詰まった感じの中実なのですが、
クサウラベニタケは中空、つまり、すかすかです。

そして、気になる中毒症状は、
腹痛、嘔吐、下痢など、主に胃腸系。
神経系に作用するムスカリンも含んでいて、
ひどい場合には死に至ることも!

とにもかくにも、
知らないきのこは食べないこと。
まあ、何といっても、観察するのがいちばんです。
クサウラベニタケもよく見ると、
可愛らしくてきれいなきのこじゃないですか!

いやあ、何というか、久しぶりに、
マジメな内容になってしまいました……。
まあ、たまには、ね。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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