これは、食毒不明なんです。
コスリコギタケ
食毒不明
写真と文章/新井文彦

歳を重ね、基礎的な体力が落ちてくると、
当たり前のようにこなしていたルーチンワーク、
特に、運動関係が、ある日突然、
キツくなったりするんですね、これが。

体力づくりのためのランニングも、
(おいしくお酒を飲むため、という説も!)
今まで経験したことがないところが筋肉痛になったり、
思うようにペースが上がらなかったり……。
ふう。

ある日、ふと思いついて、
あの体育館の中の味気ない外周コースを、
iPodを腕につけて音楽を聴きながら走ったところ、
いつもと同じ距離を同じペースで走ったつもりが、
3分も早く走れたんです(走行距離は10キロくらい)。
現実逃避で、だましだまし走らされていた、
と言うか、効果てきめんでした!

ぼくは、月に1回くらいの割合で、
きのこを見るために雌阿寒岳に登っています。
頂上に行く気はなく、せいぜい4合目まで。
2合目の上くらいまでは、山というよりは森で、
樹齢何百年という太くて大きなアカエゾマツが、
これでもか!というくらい林立しています。

雌阿寒岳は、登山口から1合目くらいの間が、
けっこう傾斜がキツくてなかなか骨が折れるのですが、
登山の場合だと、はあはあ言いながら登るのに、
きのこを探しながらだとあっという間なんです。
これも「だましだまし」効果のひとつかも(笑)。

そんな雌阿寒岳に広がるアカエゾマツの森で、
白くて小さなきのこらしからぬきのこを発見!
小さなすりこ木のようなきのこ、コスリコギタケです。

夏から秋にかけて、針葉樹林で見られ、
形は、棍棒のような、すりこ木のような、円柱形。
高さは3〜10cmくらいの中型のきのこです。
最初は白く、徐々に、黄褐色〜灰褐色になり、
表面は、ちょっとツルツルしています。

似たような種類で、もっと大きな、
スリコギタケは食用とされているのですが、
こちら、小さなスリコギタケは、食毒不明。
もし見つけても、食べるのはやめましょう。

それにしても、アカエゾマツの林地は、
ササなどの下草がほとんどなく、
一面緑のコケの絨毯が広がっていて、
その合間合間にきのこが顔を出すという、
きのこファンなら悶絶すること間違いなし、
の素晴らしい環境を誇ります。
うっとり。

ちなみに、
コスリコギタケの後ろに写っている、
細長い物体は、アカエゾマツの松ぼっくりです。
北海道以外ではあまりお馴染みではないかも。
いろいろな生物の餌になります。

※このコンテンツでは、 きのこの食毒に触れてますが、 実際に食べられるかどうかを判断する場合には、 必ず専門家にご相談ください。
 
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