阿寒湖周辺に広がる森は、
トドマツやエゾマツなどの針葉樹が大勢を占めるものの、
ミズナラやダケカンバなど広葉樹が入り交じる、
針広混交林と呼ばれる形態が一般的です。
したがって、
トドマツやアカエゾマツの森を歩いていても、
大人二人でも抱えられないほど太く育った広葉樹を、
いたるところで目にすることができます。
樹齢が千年に迫ろうかという、
ミズナラやカツラなどの巨木を目の当たりにすると、
何というか、本当に、圧倒されてしまいます。
自然の大きさと、オノレのあまりの小ささを、
まざまざと、しっかり、認識することができます。
この先まだ数百年は生き抜くと思える、
圧倒的なまでの生のエネルギーを持つ、
森の主たるこれらの巨木に、定期的に会いに行けば、
いろいろご利益のお裾分けに預かれるのではないかと、
人間の小物は考えるわけで……(笑)。
エゾハルゼミの蝉時雨が降り注ぐ阿寒湖の南岸の森で、
けっこう大きなミズナラの木を横目で見ながら、
むふう、と鼻の穴をふくらませていたとき、
左目の端っこが地面に何かきのこ的存在を捉えました。
不遜なことを考えていても「きのこ目」は健在です。
マイタケ?
いやいや、初夏にマイタケは生えないでしょ!
あ、夏に見られるマイタケに似たきのこと言えば、
ちょっとレアな、チョレイマイタケ、です。
(もちょっと新しい状態で見たかった!)
チョレイマイタケは、夏の初めに、
ミズナラなど広葉樹が生える林地から発生します。
円形の傘と柄を持つロート形の小さなきのこが、
いくつも重なりあうような形でひとつの株を形成。
直径8〜20cm、高さ10〜15cm程の大きさです。
傘はやや褐色を帯びたキツネ色で、
その裏側にヒダはなく無数の孔が見られます。
そして、チョレイマイタケの特徴は、
何と言っても地中に大きな菌核を形成すること。
手前をちょっと掘ってみると、
真っ黒で、ちょっとシワがある、
動物のう◯こを彷彿させる菌核が確認できました。
(時に数十cmもの大きさになるとか)
それもそのはず、名前の「猪苓」とは、
まさに、イノシシの糞のことなんです!
猪苓は、古来から漢方薬、生薬として知られていて、
消炎、解熱、止褐、利尿の薬として用いられるほか、
最近では抗腫瘍効果も確認されているとか……。
きのこ部分(子実体)も食べることができます。
じゃあ、マイタケのようにおいしいかというと、
各種図鑑には、食べられる、と記載があるのみなんです。
でも、食べた人の話によると、歯切れがよく、
実は、けっこうおいしいらしいです。
それにしても、巨木を詣でると、
精神的パワーを与えてもらえるだけではなく、
実利もいただけるんですねえ……(笑)。
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