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すごい爆発があったらしい。
轟音とともにまわりが水浸しになったって。
いやいや、違うよ。
水を張ると
まわりの家の水が止まってしまって、
それで使われなくなったらしいよ。
わたしの母校のプールについて、
当時大真面目に囁かれていた伝説である。
入学して「本校にプールはありません」
と知らされ大喜びの生徒たちだったが
じきに「でもなぜ?」と気になりはじめる。
すぐに事情通が現れ、情報は風のように飛び交う。
「そのプールのど真ん中にさ、
カッパのミイラがあるらしいよ!」
「ええー? マジで!? 見に行こうよ」
「わはははは! 行こう行こう」
JKという言葉などまだなかった時代、
我らは制服のリボンを風に泳がせつつ
勇んでカッパ探しに遠征したのだった。
広大な敷地の奥の奥、湿地と藪の中で
プールはさびたフェンスと共に草に埋もれていた。
盛大に蚊に喰われながらの冒険は
今に残る思い出になった。
年月を経て、プールは解体された。
今はハンドボールのコートになっているそうだ。
「ハンドの授業のたびにすげえ歩くんだけど!」
「そして蚊に喰われまくるんだけど!」
帰宅してムヒを塗る後輩・次男高1に
母はニヤニヤしながら伝説を吹き込む。
(タナボタばんざい)
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