近松 |
五月晴れってどういう意味だかご存知ですか? |
東京の小金井にある、江戸東京博物館の別館、
「江戸東京たてもの園」に初めてお邪魔した5月の晴れた日、
まさしく、これぞ五月晴れ! というような太陽の
ふりそそぐ明るい応接室で、近松鴻二先生がそう言いました。
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── |
はい、初夏の5月ならではの、
さわやかな晴れた空のことを言うんだと思います! |
近松 |
ほほう。‥‥では、五月雨というのは
どういう意味でしょう? |
── |
ええと、5月に降る雨、ってことだと思うんですが、
晴れ間に降る弱い雨ってことでしょうか。 |
近松 |
なるほど。では‥‥うるさい、というのは
漢字でどう書きますか? |
── |
「五月蝿い」と書きます! 5月のハエですよね。 |
近松 |
ではじっさいに5月のハエって、うるさいでしょうか? |
── |
あ、5月にハエは、あまりいないですよね‥‥。
でもむかしは、5月にハエが、
いっぱいいたんじゃないですか?
衛生状態がわるかったりして。 |
近松 |
そうですね、昔の五月には、
ハエがいっぱいいて、うるさかったので、
五月のハエ、という字が当てられたんでしょうね。
‥‥じつはいま出た3つの言葉、
『五月雨』『五月晴れ』『五月蝿い』の五月は、
すべて、旧暦の五月を指しているんです。
旧暦の五月は、新暦の6月くらいにあたりますから、
つまりは雨の多い季節なんです。梅雨の季節なんです。 |
── |
ええっ、‥‥ということは? |
近松 |
五月雨は、梅雨時の長雨で、
五月晴れは、梅雨の晴れ間のこと。
五月蝿いという字は、そんなじめじめした季節に
出るハエのすがたを漢字で当てたんでしょうね。 |
つまり、旧暦の時代の人と、現代のぼくらでは