Kuma
クマちゃんからの便り

うれしい便りだ。
オレは四国の牟礼にて大きな硝子を
彫刻する日々を過ごし、そのまま高知に浮遊して
西の果ての離島<沖ノ島>でイシダイ釣りに
精を出している。
三日間最高のハエに上がり挑むのだが、全く釣果なし。
もう一年になるイシダイ釣り、今回も空しく
ゲージツに戻るのか。オレにはゲージツしかないのか。
それでもイイと少し投げやりな集中力を掻き集め、
最終日のヒナダンハエに上がり、タイムアップの30分前、
南方宙釣りで構えるオレの竿に強い魚信。
送り込む、また当り。送り込む。まだ着いてる。いる。
次の引込みに<トウリャ!>。太平洋に響くオレの気合。



どうだ。ついに強いイシダイの活動が
竿をヘアピン状にしたのだ。巻く巻く巻く。
彫刻するオレの筋肉は、リールを巻く。
“イシガキダイ”である。イソの上まで一気に引き抜く
45センチ。嬉しい。ますます巨大化するゲージツと
イシダイとの遊び。まだまだ終りは遠い。


※編集部注:
イシダイ、イシガキダイは“石もの”とか“底もの”
と呼ばれ、文字どおり海の底に住み、
ウニやカニ、エビ、サザエ、アワビなどを食べています。
イシダイは成長すると(老成魚)体の模様が消え、
口が黒くなります。これを“クチグロ”と呼びます。
反対にイシガキダイは口が白くなるため“クチジロ”と
呼ばれます。引き味が似ていて、釣りあげるまで
どちらが掛かっているか分かりません。
また、ハエとは磯の小島(ハエ根)のことです。

1999-06-18-FRI

KUMA
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