『硝子のゲージツ、石切場に潜入』
6月28日、朝7時、梅雨空の牟礼。
石切の大丁場に3トンの大硝子を持ち込んだ。
石切場始まって以来の出来事である。
普段は山の石工の男等しか入れない、
圧倒的な石屏風の景色。
大伸石材の石工たち10人ほどが、
オレの頭蓋内のインスピレーションを、
25トンのパワーショベルと5トンのクレーンを駆使して、
3トンから10トンの庵治石にチェーンをかけ、
物凄い速度で的確に組上げていくのだ。
地球誕生以来の永いジカン、陽の光りに見ることなく
生成されてきた巨大な石の群を、オレが束の間
オレの光のゲージツで迎えてやるのだ。
夕方にはゲージツの儀式も終了して、
男等との大エン会になった。
闇に戻った石切場で、オレの頭蓋には
火のイメージが燃え上ると、男等は丸太を集め
盛大に燃やす。
硝子に炎が走り、後の石屏風は浮き上がる。
夢の景色になったのだ。
その儚いジカンは立ち会った男等の頭蓋に
メモリーされたが、ビデオテープにも残った。
来春の全国放映で皆さんにもお裾分けしよう。お楽しみに。
その夜、オレの身体に腎臓結石が発生。
激しいラセン状の痛みが襲った。
喜んだ庵治石からのほんの感謝のシルシだわい。
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