Kuma
クマちゃんからの便り

北極レポート・・・2

まだヒトも疎らなモントリオール空港、午前5時。
チェックインするとAIR CANADAは
7時半発だという。一時間間違えた。
遅れるよりイイか・・・。
仕方なしに何もやってない空港内をブラブラ。
シャッター開けたばかりの軽食屋で
野菜のパスタとエスプレッソ。
アメリカと違って十分美味い。
30人乗りのプロペラ機は快晴の空を、
4つの小さな空港に立ち寄り
牛乳配達夫のように几帳面な飛行だから、
5時間近く掛かってやっとマドレーヌ空港。
ここで一大事に気づいた。
成田で購入した<ショーチュー>と<キンツバ>を
ホテルに忘れたのだ。
アザラシの仔をウォッチングしたらまたホテルに戻り、
オーロラを観にフォートマグマレーに移動する予定だ。
その時まで預かってもらうことにした。
ジタバタしちゃイケナイ。
オーロラの音を聴きながら、
<キンツバ>で<ショーチュー>だ。

直立したシートで5時間は荒行である。
手足を伸ばしエコノミークラス症候群対処運動して、
すぐにヘリコプターで30分。
結氷した流氷群の海に飛んだ。
点々とアザラシの親子。黄色い産毛が純白に変わっていた。
母乳だけで一日2kgも大きくなるゴマフアザラシの仔。
自然界の大成長率。
ジャパンの失った十年プラス一年あまりとは大違いだ。
オレは腹這いになってホフク前進で、
真新しい生命に近づく。
しかし添い寝する母親はもう少なく、
氷の穴からモグラ叩きのようにヒョコヒョコと
顔を出しては仔を見守っている。
もう間もなくグリーンランドに帰っていく
親の気配を感知してあちこちで切ない泣き声。
残された仔等は集団で来年までここで
魚を獲って生きていくのだ。
純白の生命のカタマリの後姿は、
すでに<覚悟>を育んでいるようだ。



そんな時、ドイツ人カメラマンが氷の割目に落ちた。
すぐに上がったが望遠レンズは水浸し。
ドイツのレンズでも海水に浸かってはダメだ ろうな。
明日はアザラシ船に泊り込んで、満天の星の下、
真新しい生命等と流氷のジカンの音を聴き出して過ごす。

2001-03-16-FRI

KUMA
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